少にして老人の態を為すは不可なり。老いて少年の態を為すは尤も不可なり。〔晩二五九〕
(若者が老人ぶるのはよくない。年老いて若者のように振る舞うのは最もよくない。)
<出典:『言志四録 佐藤一斎』渡邉五郎三郎監修 致知出版社>
若者が老人ぶる
大人ぶることは決して悪いことではありません。
大人としての完成を求めている姿であり、社会への貢献という思いがあってこその行動と感じます。
しかし、老人ぶるのはよくありません。
少量の経験をもとに、世を達観したかのようなふり
人生を悟ったかのようなふり
活力さえ萎えたようなふり
しかし、若者なので体力は旺盛です。
そのため、妙な思想に取り付かれると厄介です。
老人が若者ぶる
これはあくまで “ ぶる ” ことの戒めと捉えた方が良いでしょう。
人の寿命は延びてきており、そして人には生存への欲求があります。
末永く生きようと、体力・知力の向上を求めるのは決して悪いことではないはずです。
しかし、この先は二つに分岐します。
一つは
自分の意志が明確で
その意思に基づく行動を行う人
言い換えれば
自分を修めようと考える人
自分の人生を意義あるものにしようと
健康で元気で
人間関係をうまく処し
可能なら仕事も続ける
そのような生き方を意識する人です。
もう一つは、感情に支配される人です。
たぶんに “ ぶる ” の範疇の人であり、あまり期待できません。
一人で慎むことができず
仲間を求め
懐古に浸る
なお、派手な格好をする老人、見た目が若者ぶっている人もいるでしょう。
感性が豊かになってきている時代、当然そういう人も増えるでしょう。
しかし現段階ではまだ、そういう派手な格好の人の周りに、他の人があまり寄ってこないのも事実です。
ここは気を付けた方が良いでしょう。
意志に基づいた人生
そのときの感情に従う人生
どちらを望むか
人にとって、“ ぶる ” 行為はよくありません。
自らの身体一つで、真っすぐ堂々と、人生の終着駅まで歩んで生きましょう
自分は自分の主人公
世界でただひとりの
自分を創っていく責任者
(東井義雄 教育者)