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COLUMNSブログ「論語と算盤」

慎んで生きる

2024年2月13日

昨日を送りて今日を迎え、今日を送りてみょうにちを迎う。人生百年、くのごときに過ぎず。ゆえよろしく一日を慎むべし。一日慎まずんば、しゅうしんのこさん。うらむべし。ざん先生う、「ねん宜しく一日の事をはかるべし」と。謂う、「の言、浅きに似て浅きにあらず」と。〔晩二五八〕

(昨日を送って今日を迎え、今日を送って明日を迎える。人生百年生きたとしても、これの繰り返しに過ぎない。だからこそ、一日を慎まなくてはならないのである。一日を慎まなければ、死してのちにしこを残すことになる。これは残念なことだ。林羅山先生がおっしゃった。「晩年になったら、その日一日のことだけを考えて生きるがよい」と。私は「この言葉は浅薄なように思えるけれど、決して浅薄ではない(非常に意味が深い)」と思う。)

<出典:『言志四録 佐藤一斎』渡邉五郎三郎監修 致知出版社>

 

 

 

 

いまを生きる

 

過去を悔いず

未来を憂えず

 

一日一日を慎んで生きる

 

 

 

生きる上での大切な心がけです。

 

 

慎む

 それは自分の心を整えること

  事物に丁寧に対処すること

   そういうことではないでしょうか

 

 

慎んで生きる気持ちになれば、人や物に対して丁寧に接することができます。

 

そうでなければ、思い付きや気まぐれ、そんな言葉や行動を生んでしまいます。

 

 

今日一日を慎んで生きるとき、過去を後悔することはありません。

 

明日や来年のことを憂うこともありません。

 

 

 

ただ

いまを

生きる

 

 

 

しかし、慎んで生きることにも工夫が必要です。

 

人は、昨日よりも納得したい、心を豊かにしたい、成長したいというような願望があります。

 

それをどうやって、日々形にしていくか

 

 

渋澤栄一、安田善次郎、北里柴三郎、後藤新平、大隈重信らと交友のあった、日本初の林学博士である本多静六氏(18661952)。

 

ほぼ財産ゼロの状態から、大学に奉職して以来、「四分の一天引き貯金」なるものを発案、実践し、現在の価値で数百億という巨万の富を築いた人。

 

その生き方は、道理に沿った考え方、論理と感情を両方持ち合わせた、まさしく慎み深いものだったようです。

 

博士は、東京帝国大学を定年退職したとき、それら大資産のほとんどを公利・公益のために匿名で寄付しています。

 

匿名ということ、これは人間観察による人の情の理解から得た、自らの人生教訓としての慎みある行為です。

 

 

博士は当初、晩年は「山紫水明の温泉郷で晴耕雨読の楽隠居をする」計画だったそうですが、七十歳を過ぎ、八十歳を過ぎても身体も心もかくしゃくとしていて、とてもそんな心境にはなれなかったようです。

 

そこで、自分の信念であった「人生即努力、努力即幸福」は歳をとっても真実であると気付き、どこまでも学び続け、働き続けようと決められたとのこと。

 

<出所:本多静六 開運と蓄財の秘術

『財運はこうしてつかめ』

渡部昇一著 致知出版社 >

 

 

 

慎んで生きること

 

それは人生の幹を

太くしていくこと

 

 

 

“ 私は人間の生き方には三つのタイプがあると思っています。

一つ目は、「これまでこうだったから」と過去の延長に留まる生き方。

二つ目は、将来に向けて明確な目標を立て、そこから逆算して着実に歩んでいく計画的な生き方。

そして三つめは、遠い将来のことよりも、その時その時に直面する物事に対して、「こうありたい」という一歩先の未来に目を向け、可能性が見えたら、一所懸命に取り組んでいく生き方です。

振り返ると、私はその時の状況の中で、出くわした物事に対し、真正面から体当たりして、全力で取り組み、変化対応してきました。”

<引用:『一生学べる仕事力大全』藤尾秀昭監 致知出版社 P73

鈴木敏文(セブン&アイホールディングス名誉顧問)>

 

 

 

慎んで生きる

 

その神髄