子曰わく、十室の邑、必ず忠信丘が如き者有らん。丘の學を好むに如かざるなり。
(先師が言われた。
「十軒程の小さな村にも、必ず私ぐらいのまことの人はいるだろう。然し私の学を好むのに及ぶ人はいない」)
<出典:『仮名論語』伊與田覺著 致知出版社>
“ 忠信 ”
まことの人
忠実、誠実、正直、堂々
勇気、親切、守護、努力
そんな印象の人でしょうか。
例えば、自分の親、所属する組織の上司、地域の責任者に対し、忠実に従い、彼らを助け、目下の人や弱者に手を差し伸べる人。
特に、利害関係の少ない家庭内や地域社会においては、信頼され尊敬されるでしょう。
“ 学を好む ”
自分の人生をより良くし
さらに周囲も良くするために学ぶ
それを能動的に行う人
“ 忠信の人 ” は、生じた現象に対して手を打つ、受動的な行動が主。
“ 学びの人 ” は、自らに疑問を投げかけて、より良い状況を創り出す能動的な行動が主。
大きな違いは
“ 受動 ” と “ 能動 ”
“ 受動 ” が
状況に左右されやすい中
何とか良くしようと工夫するのに対して
“ 能動 ” は
「どうあるべきか」を探索し
自らの中核的価値観を確立します
このことを仕事において的確に指摘するピーター・F・ドラッカー。
ドラッカー学会の共同代表理事である佐藤等氏は、月刊誌『致知』の中で次のように解説されています。
「仕事の本質は、自分の意志とは切り離されたところに存在する顧客のために「なすべきこと」です。一方、人間の発展は内面の問題です。それは、仕事に取り組む己の姿勢が問われるということです。」
「ドラッカーは、成果の本質を売上や利益をあげることではなく、外の世界に変化を起こすこと、すなわち顧客に良い影響をもたらすことであるととらえています。
このような言葉の意味を自己の内面に取り込んだ者は、“ では顧客がわれわれに期待していることは何か ” と考えられるようになるかもしれません。」
<出所:月刊誌『致知』2024年2月号
「仕事と人生に活かすドラッカーの教え」>
“ 受動的な行い ”
その先にある
“ 自らが能動的に創り上げていく ”
ことへの挑戦こそ
人生の意味と意義が見出され
味わいも深まるのでしょう