正を以て國を治め、奇を以て兵を用う。事無きを以て天下を取る。吾何を以て其の然るを知るや、此れを以てなり。夫れ天下忌諱多くして、民彌貧し。人利器多くして、國家滋昏し。民技巧多くして、奇物滋起る。法令滋彰かにして、盗賊多く有り。故に聖人云う、我無爲にして民自ずから化し、我靜を好んで民自ずから正し。我事無くして民自ずから富む。我無欲にして民自ずから樸なり。
(国を治めるにはまっとうな政策でなければならない。戦争をするには、詐術を用いなければならない。しかし、これはすべて心あっての行為である。天下を取ろうと思えば、何もしない、無心でなければならない。
わたしは、どうしてそういうことを知るのか。なぜ、有心はいけなくて、無心でなければいけないというのか。それは道というものの本質が、無為であるからである。だからそういうことがいえる。
そもそも天下にいろいろの禁令、禁止事項が多くなればなるほど、ああしてはいけない、こうしてはいけないということで、民の生活はいよいよ貧しくなる。
人々の間に文明の利器が多くなればなるほど、国家全体がますます混乱するであろう。人民の中に巧みな職人わざといったものが多くなれば、よけいな機械がいよいよ盛んになるであろう。
法律が明らかになり、こまかくなるにつれて、泥棒もいよいよたくさんになるであろう。
だから、昔の聖人はいった。
わたしが何もしないでおれば、民はおのずから感化される。私が静かであることを好めば、民はおのずから行いが正しくなるであろう。わたしがよけいなことを何もしない、ほったらかしにしておく、そのことによって民はおのずから富むであろう。わたしが文明の利器とかなんとかそういったものを欲しがらず、無欲であれば、民はおのずから粗けずりのまま、素朴なままでおるであろう。)
<出典:『老子講義録 本田濟講述』読老會編 致知出版社>
これが理想の情景
心の楽園
ところが人類の欲や好奇心は、技術、策略、仕組みなど、時務学の分野に向かいます。
機械化を進め、天然資源を使えるだけ使い、仮想空間まで生み出してきました。
これから、さらに文明は変化・展開をしていくのでしょうか。
しかし、人を不幸にするのは、自らの怠惰、金銭や名誉の争いごと、財物の奪い合い、そして他国への侵略や宗教対立、戦争。
謙虚に、控え目に日々を過ごし、いまある物を大切に使い、自分および他者、そして他国を尊重することができれば、対立や争いを招くことはなく、平穏無事な日々が続くはずです。
人類は
果たして
本当の意味で
進化しているのか
リーマン・ショックの後
あるプロのディーラーは
漁業に職を転換しました
人の、本当の生きる姿を求めて
わが国でも
就農や
先人の文化的活動に
回帰しようとする人が増えています
人の、本当の生きる姿を求めて
何の取り決め
規則・法律のない社会
策略
文明の利器
機械のない社会
それは理想郷で
実現できないよと
考える人も多いでしょう
しかし
そのような社会状態を実現することこそ
人類に求められている
真の意味での “ 進化 ” では
~ 欲を捨て
賢を求む ~
いまの文明、これからも変化していく文明、いったいどこへ行くのでしょう。
誰もわかりません。
それもそのはず。
人間が持つ欲の正体がわかっていないのですから。
欲の行く末
その終着点で待つのは
悪魔か天使か
欲が争いごとを招き
不幸を生む働きがある以上
決して良い状況ではないでしょう
人の、本当の生きる姿を求める
一人ひとりが理想の地を求める
さて、年末です。
色んな会合が多くなるでしょう。
よい頃合いに、こういう科白で切り上げてはどうでしょう。
「日の出とともに目覚めたい。
そろそろ失礼しますね。」