子曰わく、伯夷、叔齊は舊惡を念わず。怨是を用て希なり。〔公冶長第五〕
(先師が言われた。
「伯夷、叔斉は、旧い悪事を永く根に持つことがなかった。だから人から怨みを受けることは少なかった」)
<出典:『仮名論語』伊與田覺著 致知出版社>
人は長所を褒められると嬉しいものです。
逆に、短所や失敗を指摘されると嫌です。
また昔のことをずっと根に持たれるのも。
今日の言は、上に立つ人にとって特に心得ておく必要があります。
仕える者、部下としてみれば、何かの折に昔の失敗や悪事を引き合いに出されるのでは、たまったものではありません。
昔の失敗、ついついやってしまった悪事、これを最も悔いているのは本人自身です。
それを考慮せずに指摘することは、本人を虐げる行為になってしまいます。
また、あまりそういう指摘を続けると、本人自身が開き直ってしまう可能性もあります。
(誰にでも失敗や誘惑に乗ってしまうことはあるのに、それをいつも掘り返してくるなんて、なんと狭量な・・・)
というように、上の者を見下し始めるかもしれません。
そしてさらには、逆に見せつけんばかりに、昔の失敗や悪事と同じ行為をわざとやるようなこともあるでしょう。
こうなると、組織としての人間関係はほぼ修復不能です。
こうしてしまったのは
上に立つ者
リーダーの責任です
他方、過去のことなど一切触れず、今後どうしていくか、どう物事を展開するかを考えて行動しているリーダーに対して、部下は勇気を感じ、そして協力心も芽生えます。
そのようなリーダーは、部下の長所を素直に認め、きちんと要所に用います。
部下は認められたことを自覚し、ますますやる気が生まれるでしょう。
“ 昔の良くない行為は二度と行わないぞ、高いレベルの人物になるのだ ” と、リーダーの言動を見習い、自らの血肉としながら、今後の自分自身に展望を持てるようになるでしょう。
人が展望を持つのは
情熱が湧くのは
協力しようと思うのは
これからこと
未来に対してです
人の上に立つ者
リーダーは
よくよく考慮しておくべきです
今日の言のように、過去の良くない点ばかりに着眼しているようでは怨みをかいます。
人の怨みは恐ろしいものです。
いわゆる暴力よりも
言葉で精神的に虐げることの方が
恐ろしい結果を生みかねません
自らの
さらには相手の命を
犠牲にする可能性さえあります
織田信長の長所を捉えて
共感したのが
豊臣秀吉
逆に短所に気づき
是正してあげようとしたのが
明智光秀
織田信長とすれば
どちらを大事にするか
そしてその結果は