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COLUMNSブログ「論語と算盤」

幸福を得るために

2023年10月6日

勝茂公より光茂公へ御代御譲りなされ候前方、二十箇条計りの御書き物相渡され候。皆以て直茂公御意計りにて候。其の内、直茂公御病気御差詰り、五月廿六日勝茂公御面談の時分仰せられ候は、「国家を治むるは良き人を持つに極り候。」と御意なされ候。それに付、「良き人出来候様には立願など懸け申すものにて候や。」と御尋ねなされ候へば、直茂公仰せられ候は、「総じて人力に及ばざる事を仏神に御頼み申すものにて候。良き人出来候事は、我が力にて成る事なり。」と仰せられ候。「それは如何様に仕り候へば、出来申し候や。」と重ねて御尋ねなされ候へば、「物事好きの者は集まるものなり。花に好き候へば今迄一種も持ち申さざる者も暫しの間に品々集まり、世に珍しき花など出来申すものに候。その如く人に好き候へば、其の儘出来るものなり。唯好き申すまでにて候。」と御意なされ候。又「何事も誠にてこれなく候へば、役に立たざる」由、其の外数箇条これあり。〔聞書第四〕

(勝茂公から光茂公へ、代をお譲になさる以前に、二十ヶ条ほどの書き物を渡されたことがあったが、すべて直茂公のお言葉を記したものであった。

 そのなかに、直茂公のご病状が切迫した元和四年五月二十六日(直茂死去は同年六月三日)、勝茂公に面談されたさいのお言葉がのっている。

 直茂公が「国を治めるには、すぐれた人材を得ることが何よりも大切である。」といわれたので勝茂公が「どうすれば人材を得ることができるのでしょうか。神仏に願でもかけるのですか。」といわれた。直茂公は、

「いや、神仏に願などかけるのは、人力では及ばぬことについてである。人材を得ることは人の力でできることだ。」

「どうしたら、それができましょうか。」

 勝茂公が重ねてきかれると、

「何ごとによらず、それを愛するもののところに、ものは集まるのである。たとえば花に趣味を持てば、その人のところには、今まで一種類の花もなかったものが次々とあつまり、なかには世にも珍らしい花もでてくるのである。人材を得るのもそれと同じこと、ただひたすらに、立派な人材を愛し尊重することによって、自然とすぐれた人を集めることができるのである。」

 また「何ごとによらず、真心から出たるものでなければ役には立たぬ。」など、そのほか数ヶ条もあるということである。

<出典:『葉隠』原著 山本常朝/田代陣基 神子侃編著 徳間書店>

※直茂は佐賀鍋島藩の藩祖であり、勝茂はその子。勝茂の子の忠直は早世したため、勝茂の孫である光茂が継いだ

 

 

 

 

初めて社会に出る人には

一つひとつの仕事を

できるだけ丁寧に扱うこと

大切に扱うことと伝えています

 

 

 

 新入社員として営業職に配属になったとき、自社製品を愛せよ、すると売れるようになると言われました。

 

しかしうまく愛することはできませんでした。

 

というのも、扱う品物が20歳代で買いたくなるような物ではなく、実感が沸かなかったためです。

 

 

いま思うに

努力して愛そうとしても

やはり無理なものは無理です

 

 

 

見方を変えて

“大切に扱う”ことがかなめになると感じます。

 

人、物、動物、植物、

川の水、太陽の光、雨粒、

そして食べ物

 

 

 

 

 全てを大切にかつ丁寧に扱うように心がければ、自ずと自分にとって大事なものになってきます。

 

すると、それを愛している自分に気づきます。

 

 

収集家は

 大切なものほど丁寧に

  手袋をしてまで慎重に扱います

 

それが

 その収集家にとって宝物だからです

 

 

言葉も同じです

 丁寧な言葉を用いれば

  真の意味に近づけます

 

そして

 同じように良い言葉を使う人達が

  だんだん近づいてきます

 

 

 

つまり

大切に丁寧に扱えば

それらが全て大切なものになり

やがて手放したくない

“ 宝物 ” になっていくのです

 

 

 

自分の周りのものを

 大切に丁寧に扱えば

  それらが全て宝物になります

 

 

 

やがて身の回りが

宝物で溢れるようになるでしょう

 

 

 

そして人も同じ

 周囲の人たちに

  丁寧に接することです

   大切に触れ合うことです

 

やがて多くの人々が

集まってくることになるでしょう

 

 

 

ただし、そこに “ 徳 ” が無ければそれまでです。

直茂公が言われたように、誠、真心が無ければどうにもなりません。

 

 

 

 

金銀小判に囲まれて

それでもさらに増やそうと

血眼になる

果てることのない欲望

 

 

 

 

何でもないものに

 囲まれているだけで

  幸福を感じられる日々

 

 

 

これは一つの幸福

ただし大きな幸福

 

 

幸福は量では測れません

一人ひとりが心で感じるものです