情足らずして而して之を文るに言を以てす。其の言親しむべからざるなり。誠足らずして而して之を飾るに貌を以てす。其の貌信ずるに足らざるなり。是を以て天下の事は真を貴ぶ。真掩ふべからずして之を言貌に見す。其れ親しむべく信ずべきかな。〔人情〕
(内実がないのにこれを言葉でかざる。そんな言葉は親しむことができない。誠がないのにうわべを飾る。そんな貌は信ずるに足りない。この故に天下のことは真実を貴ぶのである。内にある真実が掩うことができなくて自ら言葉や顔貌に出てきて初めて親しみ信ずることができるのである。)
<出典:『呻吟語を読む』安岡正篤著 致知出版社>
世の中は
言葉で飾ること
うわべを飾ること
これらに溢れています
しかし
一筋通った人物には
そんな誤魔化しや飾りはありません
誠の人、真実に生きる人だけが浮かび上がるわけではありません。
しかし、だからといって粉飾に妥協すると、その後の人生の一日一日が虚無なものになってしまいます。
一度の生を生き抜くには
本質や真実を見定め
正しい道や誠を謙虚に受け入れ
そして突き詰めていかねばなりません
その思いが内から湧き出てくる
滲み出てくるまで
自分の内面を磨き続けるのです
そうすることによって
人はその人生において
必ず成功するのです
間違いなく成功しない方法は一つです。
それは、大勢の考え方に迎合し、流されていれば良いのです。
成功とは
自分を練り上げ
創り上げること
現実の中での様々な出来事にぶつかり
削られ
自省し
また立ち上がる
志を立て
自分を磨き続ける
自分を高める道を見出し
誠を持って生き抜く
地位、名誉、財などを得ることは
成功ではありません
仮に得たとしても
そんな邪な高揚感は
もってせいぜい数日です
自らを磨くこと
それは自分を形作ること
日に日にその輝きは増していく
もちろん、乗り越えなければならない壁はいくつもあります。
その中の一つ、“ 仕事 ” についての重要な心がけ。
“ある裁判官が自宅の塀を作ろうと、広告でやってくれる人を募集した。
しかし「材料は当方支給、手間賃は1.5ドル」とのことであり、なかなか応募がなかった。
しばらくしてやっと、「やりましょう」と言ってきた大工がいた。
裁判官は、くれぐれも報酬は1.5ドルであること、だから粗削りで良い旨を伝えたところ、大工は承知した。
そしてさっそく仕事に取り掛かったが、それはことさら丁寧な仕事ぶりであった。
裁判官が仕事を終えて帰宅すると、立派な板塀がきちんと出来上がっていた。
裁判官は、大工が値上げを要求してくるのではないかと心配し、報酬は1.5ドルであることを改めて確認した。
すると大工は「結構でございます」とのこと。
裁判官が「こんなに手間をかけて、損ではないかね」と問うと、
「損は損かも知れませんが、安いからといって仕事を粗末にすると、賃金を損した上に、自分の良心を損しなければなりません。大工として仕事する以上、仕事に精魂打ち込んで、自分でよくできたと満足しないと私の気が済みません。賃金が安いからといって、いい加減な仕事をすると、賃金を損した上に、私の性根まで損しますのでね」
裁判官は感心し、その後の裁判所の建設時にこの大工を推薦したとのことである”
<出典:『人生を創る言葉』渡部昇一著 致知出版社>
心の深い部分にある
自らが望む生き方
耳を澄まして
注意深く
その声を聞くこと