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COLUMNSブログ「論語と算盤」

恋の至極

2023年6月16日

この前、寄合ひ申す衆へ話し申し候ふは、恋の至極は忍恋と見立て候。逢ふてからは恋のたけが低し。一生忍んで思死する事こそ恋の本意なれ。歌に、〝 恋死なむ後の煙にそれと知れ 終ひにもらさぬ中の思ひを 〟これこそたけ高き恋なれと申し候へば、感心の衆四五人ありて、煙仲間と申され候。〔聞書第二〕

(先ごろ、集まった人たちに話したことだが、恋の極まるところは、心に秘めた恋であると見きわめた。叶えてしまえば、それだけのことで、つまらないものになってしまう。一生、心に秘めてこがれ死にすることこそ、真の恋であろう。歌に、

  恋死なむのちの煙にそれと知れ ひにもらさぬ中の思ひを

 とある。

 私がこれこそ至上の恋であろうといったところ、感心した人たちが四、五人いて、「煙仲間だな」ということになった。)

<出典:「続 葉隠」原著 山本常朝/田代陣基 神子侃編著 徳間書店>

 

 

 

 

 古典の中で恋愛に関するものは多くありません。

 

それがよもや、『葉隠』で出合うとは思いもよりませんでした。

 

 

この言葉に記されていること、全く同感です。

 

武士道を生きる勇ましい士は、その印象とは裏腹に、奥ゆかしく、ロマンチストなのでしょう。

 

 

 

ある異性が気になって仕方がない

 

恋焦がれる気持ち

 

片思いか

 

ひょっとしたら

 

心に秘めて過ごす日々

 

 

切なさはありますが、それもまた生きる希望です。

 

 

 

恋する思いがさらに燃えさかると、秘め続けることが困難になります。

 

 

胸が苦しく

 

呼吸さえままならない

 

告白による決着

 

 

ただしここまで思いつめると

大概の場合

良い結果にはならないようです。

 

 

 

 

 恋は、年齢を重ねてもできるものです。

 

憧れ、いつくしみ、守りたい、そばにいたい

 

そんな気持ちが、恋を育てていくのでしょう。

 

 

 

 一方、愛というものは、もっと奥深く、強さを伴うものではないでしょうか。

 

 

Love does not consist in gazing at each other,

  but in looking together in the same direction.

 

(愛とは              

お互いを見つめ合うことではなく

   お互いが同じ方向を見つめること)

 

<『星の王子さま』の作者 サン=テグジュペリ>

 

 

 

 

 

 

人生になくてはならないもの

 

 

 

 

それにしても宇宙の創造主の設計図は

 

誠に摩訶不思議であり

 

恋と愛

 

夢と希望

 

一人ひとりに美しい “ 心 ” が組み込まれていることに

 

驚嘆を念を禁じ得ません