死際のよき者は曲者なり。例し多し。日頃、口を利きたる者の死場にて取乱すは、真の勇士にてなき事、知られたりと。〔聞書第十一〕
(往生ぎわのよい者は曲者である。日ごろりっぱなことをいってる人が、最後のときに取り乱し、真の勇士でなかったと見破られてしまう、そんな例が多いのである。)
<出典:「続 葉隠」原著 山本常朝/田代陣基 神子侃編著 徳間書店>
自らを修めた人なのか否か
それが表れるのが往生際
自分を修めることなく、人を治めようとばかりする
本人に焦点が当たったときにそれが露呈する
大切なこと、大事なことを世に問うのであれば、自らが実践しなければなりません。
「是の故に君子は、諸を己に有して后、諸を人に求め、諸を己に無くして后、諸を人に非とす。
身に藏する所恕ならずして、能く諸を人に喩す者は、未だ之れ有らざるなり。」
(そこで君子は、自ら正しい道を行って人にもこれを求め、又自ら誤った行を無くして後に人の誤りを誤りとして改めさせる。
従って自分に恕の心を持たないで、よく人を喩し導くことの出来る者はない。)
<引用:「『大学』を素読する」伊與田覺著 致知出版社>
そうではなく、評論家の域でしかなければ、自分のことは棚に上げておき、他人にこうせよああせよと言うだけです。
それがどんなに良いことであったとしても、他者の心が動くことはありません。
言うだけの側に位置する人間を増やすだけです。
~小人は同じて和せず~
(小人はすぐに雷同、迎合するが、
和を保ったり、協調したりすることはない)
<論語:子路第十三>
真に人々と共感すること、それは自らが実践していくことに他なりません。
それこそが、他者をも納得させ、心から信じられることに繋がっていくのです。
~君子は和して同ぜず~
(君子は、和を保ち協調し合うが、
雷同、迎合するするようなことはない)
<同前記>
「優れた理想家ほどすべてに誠実であり、うそをやらず、うその上に立たずに、今日から現実の中で歩き出すという意味ではむしろ最も現実的です。厳しい現実の上に立って、しかも現実だけにとらわれず、見るべきを正しく見定めて、断固として自分の進もうとする道を進むところにその偉さがあると思うのです。」
<引用:「平澤興一日一言」平澤興著 致知出版社>
自らの往生際を良くする
それには実践あるのみ