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COLUMNSブログ「論語と算盤」

仕事の仕方

2023年4月21日

人の事をすは、すべからくかんならず急ならず、天行てんこうごとく一般なるを要すべし。が性きゅうはくなれども、時有りて緩に過ぐ。書してもって自らいましむ。〔晩録二三七〕

(人が仕事をするときは、ゆっくりすぎても急ぎすぎてもいけない。あたかも天の運行のように、自然にするべきである。私は急ぎすぎる性質であるが、時にはゆっくりし過ぎてしまう。そのことをここに書いて自らの戒めとするものである。)

<出典:「言志四録 佐藤一斎」渡邉五郎三郎監修 致知出版社>

 

 

 

 

 若く、活力がみなぎる時代は、仕事をしたいものです。

 

仕事を覚えたての20歳代など、特にそうでしょう。

 

仕事の流れが理解できるようになり、覚えた仕事を実践して体得していく時期です。

 

 

 

 上手くいかなかったら基本に立ち返り、やがて自分のものにしていくことができます。

 

そうなると嬉しくて、顧客や上流工程へ積極的に接するようになり、さらなる仕事をいただくことになってきます。

 

どんどん応えていくうちに、やがて自分の手に余るようになってきます。

 

 

 

好事魔多し

 

こんなとき、事故や病気に見舞われることもあります。

 

一旦リセット、素の自分に戻されます。

 

 

 

 何とか乗り切って、304050歳代と、量・質・幅が広がる仕事をこなしていっても、どこかでリセットされてしまい、素の自分に返ります。

 

転勤、転居、結婚、別れ、定年、景気変動、会社の変化など…

 

 

 

 私の世代は、バブル崩壊、リーマン・ショック、3.11東日本大震災、コロナ禍などに直面しました。

 

世の中の景気も、人の心の勢いも、急降下しました。

 

 

 そしてその度に、素の自分について考えさせられます。

 

若いか年配かの時期こそ違え、皆、素に戻るときが来ます。

 

 

 

そのとき何を考えるか

 

出す結論こそ違え

皆同じことを考えるようです。

 

 

 

 闇雲に、あるいは焦って次の仕事に就いた人は、日々の充実度は結局変わらないでしょう。

以前と同じ日々となれば、近い将来、また素に戻ることになります。

 

では、熟慮さえすれば良いのか、何か見出せるのか、過去と違う展開があるのか・・・

 

そう簡単ではありません。

 

 

逆に、仕事をしないという選択をしたなら、その人は遠からずその弊害に気づきます。

 

 

なぜなら

仕事にこそ生きる価値があるからです。

 

 

自分を修練し、鍛えることで成長を感じる

 

困難を乗り越えることで成長を感じる

 

この成長という実感こそが生の証

 

 

 

家庭のよろずごとを収めていく主婦、主夫も立派な仕事です。

 

孫の面倒を見る祖父母も立派な仕事を為しています。

 

 

生の価値や意味

そしてやりがいを

感じられるのです

 

 

 

 

いかなる背景でも

いかなる順路を経たとしても

自らの生に対する使命を感じ取り

それに沿った仕事をしていく

そして自分を成長させる

成熟させる

 

これが生きる意味ではないでしょうか

 

 

 

 

そしてそのような仕事は必ず

他者の幸福に貢献するものであるはずです。

 

そしてその仕事の仕方こそ

今日の言葉に示されています。

 

 

 

「 天行の如く一般なるを要すべし 」