Loading

COLUMNSブログ「論語と算盤」

経験の美徳

2023年4月4日

鋭進えいしんの工夫はもとよりやすからず。退歩の工夫はもっとかたし。だ有識者のみ庶ちかからん。〔晩録二三六〕

(まっしぐらに進んで事を成すのは、元来、簡単なことではない。しかし、それよりも難しいのは、時を心得て一歩引き下がることである。これはただ、見識ある者だけにできることであろう。)

<出典:「言志四録 佐藤一斎」渡邉五郎三郎監修 致知出版社>

 

 

 

 

事を成し遂げる

 

難しいことです

 

 

 

 若さをもとに、がむしゃらに進んで成果を得ることもあるでしょう。

 

ただ、往々にして横やりが入ったり、相対する勢力との戦いに時間やエネルギーを消耗したりと、色々な障害も出てきます。

 

また、身辺の変化によって、自らが方向を変えることもあります。

 

 

 一方、よわいを重ねて経験を積むことで、各種障害を極小化させることも可能でしょう。

 

 

 

ただし

いかなる状況においてでも

考慮しなければならないのが

今日の言葉の意味です。

 

 

 

いまのまま進めていけば事が成し遂げられるとしても、それは既知の条件下においてです。

 

不透明で不確実な明日、一歩先、つまり“時”の流れを考慮せねばなりません。

 

 

  いまの取り組みは他者に任せ

   自分はその先の状況を創造する

    そこに真の意義があるのではないか

 

 

  自分がやるよりも

   他者の方が上手に効果的に

    事を進められるのではないか

 

 

  より良い状況を生み出すためには

   他者にやらせて様子を見て

    その上で工夫を加えて実行すべきだ

 

 

  変化させることで生じる副産物

   公害や廃棄物、反対意見など人的な抵抗

    それらへの対処を準備してから行うべきだ

 

 

  世間や周囲の意識はじょうせいされているか

   拙速せっそくとならないか

    よくよく風を読まねばならぬ

 

 

 

経験を積むことで習得すべき力

それは知識を見識へ

そして見識を胆識たんしきへと

しょうさせることです

 

 

 

事を成し遂げる信念と執念

 

踏み止まって足元を確認する慎重さ

 

時の流れを読み取る大局観

 

実現に向けてやりぬく邁進まいしん

 

 

世を良くする最良の道を歩むには

一歩下がって全体を洞察どうさつする工夫が欠かせません。