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COLUMNSブログ「論語と算盤」

人の熟成

2023年3月28日

こうわく、我人われひとこれを我にくわうることを欲せざれば、われまた諸を人に加うること無からんと欲す。のたまわく、なんじおよところあらざるなり。〔公冶長第五〕

(子貢が言った。

「私は、人が自分に無理をおしつけてくることを望まないので、人にも無理をおしつけることのないようにしたいと思います」

 先師が言われた。

「賜よ(子貢のこと)、今のお前にはまだ出来ることではないね」)

 

<出典:「仮名論語」伊與田覺著 致知出版社>

 

 

 

 

無理なことを押し付けられたり、嫌なことをされたりすると、不愉快になります。

 

相手を憎むことさえあるでしょう。

 

 

 

では

人に無理を言わない

嫌がられることをしない

こんなことができるでしょうか。

 

 

 

歎異抄では人間について次のように述べられています。

 

 「私たちの世界は、怒ったり、泣いたり、嘘をついたり、悪口をいったり、人をいじめたりなど、さまざまなことでにごっています。そして、何よりも人間は他の生物いきものを殺して、食べて、生きていかねばなりません。その生き方を“歎異抄”では悪人というのです。

 そういう悲しい生き方をせざるを得ない、人間という生物をあわれんで立てられたのが、阿弥陀さまの本願なのです。」

<引用:「歎異抄」金山秋男訳 致知出版社>

 

 

 大なり小なり

  気づくか否かに関わらず

   良しにつけ悪しきにつけ

    私たちは周囲に影響を与えないわけにはいかないのです。

 

 

 

 充実した人生経験を積んでいれば、相手の言動を正すようなときにも遠回しに、比喩的に気づかせられるかもしれません。

 

しかし、現役で働いているうちは、少々の人間的軋轢があろうが進まねばならない場面ばかりです。

 

 

智恵も力も充実している年代ほど、差配することが求められ、多くの指示を出さねばなりません。

 

まして今日登場した子貢は、若く、力があり、かつ頭脳明晰というエリートです。

 

 

そんな子貢に対して孔子は、気づかせよう、深く考えさせようとして「まだ無理」と投げかけたのでしょう。

 

人を育成するに望ましい助言と感じます。

 

 

 

しかし、この育成方法が奏功するには、受ける側にも素直さや見識、年齢や時期、度量などの準備ができてなくてはなりません。

 

 

 

人の育成

そして熟成には

様々な機微が影響します。

 

 

良い人物を増やすには

若いころから

人間力を意識する社会的土壌が必要です。