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COLUMNSブログ「論語と算盤」

興隆の本能 衰退の本能

2022年11月29日

親につかうるの道は、おのれを忘るるに在り。子を教うるの道は、己れを守るに在り。〔晩録二二八〕

(親に仕えるには、自分を無にして尽くすことである。子供を教えるには、自ら徳操を固く守って模範となることである。)

<出典:「言志四録 佐藤一斎」渡邉五郎三郎監修 致知出版社>

 

 

 

 

自分を無にして尽くす その対象は親

 

自分が模範を示す その対象は子

 

 

 

 昨今、逆になっているように感じます。

 

子に全面的に尽くし、模範の姿を示すことができない。

親に対しても、きちんと生活しているから文句ないでしょ、というような態度。

 

こんな風潮が広がっているようです。

 

 

普段は明確な疑問を感じることはありません。

しかし、このような意識が代々継続していくことは不可能です。

 

 

 親と子の関係をよく考えてみましょう。

 

子が親から全面的な愛情を注がれて成長したとします。

それはそれで良いかもしれませんが、一方で親としての模範を示す教えがないと、子は“親への成り方”がわからないままです。

 

子は、成人するまで、親から言われたことを素直に守り続けるだけになります。

 

なぜか

 

自分に尽くす親の姿があわれだから

 

 

そして成人したときには、自分の親がやってきたような態度、きちんとやっているから良いでしょ、として親を突き放すことはできません。

 

なぜか

 

親に恩返ししないと

自分の心のバランスが取れないから

 

あれほど尽くしてくれたのだからと

 

 

親の方は、一応人並みに育ったと思って自分を慰めればよいでしょう。

 

しかし子は、生きる意義をつかめていないかもしれません。

子は、親から離れた後、いかに生き抜くべきか、全くわからないからです。

 

 

模範から全貌を学ぶ・・・・・・・・・機会を得られず

 

断片的な正解を詰め込まれてきただけ

 

 

親になるとはどういうこと

 

愛情を注いで尽くし

まやかしの感謝を背負わせる・・・・・・・・ことか

 

 

 

 今日の言葉にあるように、親が模範を示すことで、子は初めて親の在り方を学べます。

 

そして、親が祖父母に対して尽くす姿も子の脳裏に刻まれます。

 

親との間には反発も生じるでしょうが、やがて自分が親になったとき、自分の子や親に対して、親から学んだことを実践していくでしょう。

 

これによって、親と子の関係が輪廻の如く継続し、命が代々繋がっていくのです。

 

 

 

 親子関係は、見えない「絆」でつながっています。

 

それは、深い愛情と感情のぶつかり合い、相反する表と裏で構成されます。

 

その表と裏が一体なったとき、初めて「絆」が姿を現し、認識されるのです。

 

 

溢れる愛情  突き放す客観

 

無心で尽くす 対立する感情

 

いんよう

 

全てついであり、一方だけでの存在は不可能です。

 

 

 

自らの人生の謳歌のみに邁進する

これも一つの本能かもしれません。

 

しかしそれは

種の興隆ではなく

衰退に導く側面も併せ持った本能です。