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COLUMNSブログ「論語と算盤」

機会を捉える

2022年11月15日

じんとなうる機会とは、多くはぎょうこう仕当しあてたるを言う。真の機会はつくして行い、せいつまびらかにして動くというに在り。平日国天くにてんうれうる誠心厚せいしんあつからずして、只時ただときのはずみに乗じて成し得たる事業は、決して永続せぬものぞ。

(世の中の人の言う機会、いわばチャンスとは、たまたま得た偶然の幸せのことを指しているのが大多数だ。

 しかし、真の機会というものはそういったものではない。本当のチャンスというのは準備万端、合理的に考え尽くして行い、時の勢いをよく見極めて行動して、成功を手にする場合のことだ。

 常日ごろ、国や世の中のことを心配し、憂える真心も誠意もなくて、ただ時のはずみに乗って成功した事業がもしあったとしても、それは決して長続きしないものである。)

<出典:「西郷南洲遺訓」桑畑正樹訳 致知出版社>

 

 

 

 

一般の機会やチャンスは偶然の産物

当の本人が驚く、予測できないもの

 

 

真の機会やチャンスは

準備して能動的に捉えるもの

 

 

 

では準備とは何でしょうか。

 

 

西郷さんは、国や世の中のことを心配し、憂える真心や誠意が必要とのことです。

 

もう少し日常的な視点から考えると、準備とは、人や物を大切に扱い感謝することと思います。

 

小さいころ、野球を始めたとき、親がグローブを買ってくれました。

高いものですから大事にしようと、日々磨き、抱いて寝たりしました。

道具を大事にしろと監督から言われたとき、その理由はこれだと思っていました。

 

しかし、その真意は違うところにあります。

道具を大事にする真の狙いは、道具と一心同体になるためです。

 

大事にすることで好きになり

丁寧に扱うことで思いを共有できる

 

やがてそれは自分の身体の一部になり

一緒に競技するパートナーになる

 

 

この飛球にはこうグローブを出せば捕れるというような、お互いの協力関係、共同作業で成果を得るのです。

 

 

こう心掛けていないと

低いレベルに留まってしまいます。

 

 

五輪メダリスト、重量挙げ女子日本代表の三宅宏実さんは、チャンスがあってもそれを掴めず、表彰台に立てない悔しさを何度も経験したそうです。

 

あるとき、バーベルを作る職人のところに出向き、一本一本手間暇をかけて作り上げる姿を見て、一層気持ちを込めて道具の手入れをやるようになったそうです。

 

そしてリオ五輪、後がない最後の3回目、

それに成功し、そのあとバーベルを抱擁しました。

 

 

  「バーベルとコミュニケーションを取りながら、

バーベルと一体化しないと挙がらないと思います。」※1

 

 

うまくいったら、道具に感謝して喜びを分かち合うのです。

 

 

事業なら、やがて仲間が増えることもあるでしょう。

 

仲間は一緒に協力し合うパートナーですから、道具と同様に、丁寧に、大事に対応し、真の仲間にしていくのです。

 

これこそが、永続できる組織の生成の瞬間であり、発展の起点なのでしょう。

 

 

 

これを平凡な日常に当てはめるとこうなります。

 

自分の身の回りのもの全てを大切にして丁寧に扱うことで、全てが自分の身体の一部になり、協力体制が出来上がります。

 

自分の周囲の全てを味方にできるわけですから、日々が良くならないわけがありません。

 

 

 

道具と仲間を大切にし、世の役に立つ活動をしていくと、必ず機会やチャンスを感じられます。

 

目に見えてくるはずです。

 

そして、捉えたチャンスに丁寧に対処することで、ことはうまく運ぶでしょう。

 

どんな分野においても良い結果を得られるはずです。

 

 

 

偶然の機会は“ツキ”です。

世の中がうねることによって生じる波動と言えます。

 

もし巡り合ったなら、よく内容を見定めて、手に入れるか受け流すか選別すれば良いでしょう。

 

しかし、このような偶然の機会は頻繁には訪れませんし、一生巡り合うことがないかもしれません。

それに期待するのは愚かです。

 

 

人生を良くするのは決して難しくはないのでしょう。

 

 

周囲の全てを大切にして

感謝し

丁寧に扱う

 

 

そこから始まるはずです。

 

 

※1「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」藤尾秀昭編 致知出版社 七月1日より引用