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COLUMNSブログ「論語と算盤」

世渡りの極意

2022年6月24日

げんさっしていろおもんぱかりてもって人にくだる。世をわたるの法、二句にくでず。〔晩録二一二〕

(論語に「達人は相手の言葉を推察し、相手の表情を観察して、その心中を知り、思慮深く周到に、人にへりくだるものである」とある。世を渉る方法として、この二句以上のものはない。)

<出典:「言志四録 佐藤一斎」渡邉五郎三郎監修 致知出版社>

 

 

 

論語の「顔淵第十二」

孔子と子張における

達人に関するやり取りからの引用です。

 

 

子張が、

  達人とは「国にあっても評判がよく

    家にいても評判がよいということでございます。」

      と自分の考えを述べたところ

 

 

孔子はそれに対して

 

 

「それは聞人(有名人)といい、達人とは言わないよ。

元来達人というのは、真正直で、正義を愛し、

人の言葉を深く推察してその顔色を正しく観察し、

よく考えて人にへりくだる。

 

このようであれば、国にあっても必ず通達し、

家にあっても必ず通達する。」と諭します。

 

 

さらに、聞人とは表面上は仁者らしく見せかけて

  行いが伴わない者であり、

    しかもそのことに自分が気づいておらず、

      要領よくやるために評判はよいものになるとのことです。

 

 

孔子の考えを基にすると

達人への道は長く困難であるとしても

世を渡っていくための心構えとして

今日の言は心掛けておきたいものです。

 

 

もちろん

孔子の言う達人としての在り方に沿った

意識や言動にしていく修練は欠かせません。

 

 

 

改めて今日の言を見返してみると

 まず相手の言葉や表情をしっかりと受け止めること

  そして心中を察してあげて

   その上でへりくだるとなっています。

 

へりくだる行為

 これは特に我が国では大切にされ続けており

  「謙譲の美徳」としても知られています。

    大人としてのマナーですね。

 

 

このへりくだる行為の前段階である

  相手の心情を察して思いやること、寄り添うこと、

    この対応が重要と感じます。

 

 

 

これは、こちらの心が安定していなければできないことです。

 

 

 

こちらが不安定な心情ならば

  相手の言葉から滲み出る思い

    こぼれ落ちる本当の気持ち

      底流に流れる感情などを汲み取ることはできません。

 

 

 

相手の心の周波数に自らの心を合わせるには

自分の心を常に安定させておくことが必要になります。

 

それであってこそ

世を渡っていくための貴重な知恵となり

心してその知恵を用いることで

自らの日常を良くしていくことに繋がっていくことでしょう。