己おのれを愛するは善よからぬことの第一也なり。修業の出来ぬも、事の成らぬも、過あやまちを改あらたむることの出来ぬも、功に伐ほこり驕きょう慢まんの生ずるも、皆みな自みずから愛するが為ためなれば、決して己を愛せぬもの也。

（自分を愛すること、すなわち自分さえよければよいというような心構えは最もよくないことである。

　修行のできないのも、事業の成功しないのも、過ちを改めることができないのも、自分の功績こうせきを誇り、おごり高ぶるのも、すべて自分を愛することから生ずることだ。

　決して、自分だけを愛するようなことはしてはならない。）

＜出典：「西郷南洲遺訓」桑畑正樹訳　致知出版社＞

 

 

 

敬天愛人

 

自分を愛するようにすべての生命を愛すること

 

ただし、自分だけを愛するということをしてはならない。

 

 

 

自分だけを愛するのなら、他の人をないがしろにし、

欺あざむいてでも自分を守ろうとするでしょう。

 

 

こんな人たちばかりになれば、

比較的早い時期に、その集団、国、世界は破滅します。

 

 

自己愛は、自己保全や種の存続のために必要な感情・行為でしょうが、

それだけに偏れば、今度はその種を滅亡に導くという皮肉なものです。

 

 

 

翻ひるがえって、真に自分を大切にするには

 

他の生命を思いやり、大事にし、慮おもんばかり、協力し合うことが不可欠です。

 

 

 

このような原理、当たり前の法則について

 

きちんと考えて理解することが大切なはずです。

 

 

 

ところが、現実はそれができていません。

 

 

学校教育はどうでしょうか。

 

いや、学校教育は補足的なものであり、

 

人間として学ぶべきことは、家庭教育においてなされるべきなのでしょう。

 

問題なのは、その家庭教育自体が危うくなっていることです。

 

 

　「あらゆる教育家・教育学者は、『教育はやっぱり家庭教育である。学校教育は家庭教育でできたものを受け取って、これに手入れをするところだ』と考えている。

　日本のように、教育といえば、子供をどんな手段を使っても学校へ入れるんだと考えているのは、文明国ではよほど遅れておる。」

 

＜出典：「安岡正篤一日一言」安岡正泰著　致知出版社＞

 

 

家庭教育がこんな体ていたらくでは、日本はどんどん悪くなっていくでしょう。

 

 

 

家庭教育と学校教育

 

ともに、まるで霞かすみでもつかもうとしているのかというような時代

 

 

 

人類として、日本人として、後世に命をつなぐには

 

一人一人が命の原理、法則を学び取っていかねばなりません。

 

 

 

自分だけ、自分の周囲の人だけ、人生を全うすれば良いと考えていませんか。

 

もちろん、そうするための努力は大切です。

 

 

 

ただし、それ以外の人を心にかけないまま

 

また、今この瞬間に生まれ出いでた多くの新しい命のことを心にかけないまま

 

自分の周囲さえ良ければ良いというのなら

 

それはすでに、人類を滅亡に導く輩やからの一人に成り下がっているのです。