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COLUMNSブログ「論語と算盤」

真の意味で貧乏な人

2022年3月25日

のたまわく、りておこなえば、うらみおおし。

(先師が言われた。

 「自分の利益のみを思って行えば、

やがてお互いに怨みあうようになることが多い。」)

<出典:「仮名論語」伊與田覺著 致知出版社>

 

 

 

うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる

 

 

詩人、相田みつをさんの有名な詩です。

 

 

 

自分さえ、自分の家族さえ、自分の会社さえ、自分の国さえ良ければ

こういう思いはやがて行き詰ります。

 

 

例えば、農産物を栽培していたとしましょう。

近くに生息する野生動物もその実を欲しがっています。

 

収穫物の全てを人間が回収するか

野生動物にもいくばくか与えるか

自然界における共存共栄の分岐点です。

 

 

東日本大震災のとき、避難所での食事に際し、

被災された皆さんが整然と並んで順番を守る姿に世界が感嘆しました。

 

他の国では、我こそ先にと、

同じ地域の住民同士が奪い合う場面がよく見られます。

 

 

十のうち、全部を独り占めするのと

自分は八で留め、残りの二を不運な人に譲る。

皆がそうすれば、不運な人も八を得られ

皆が笑顔、幸せになれます。

 

 

全部を独り占めすると、周囲の人や生き物は減っていきます。

次の収穫時、その次の収穫時、だんだん減っていきます。

 

いよいよ自分が不運な場面に陥ったとき

他者の物を奪おうと争いをおこす。

 

 

 

お互いがお互いを思い合うこと

 

お互いがお互いのために存在していること

 

このことを忘れてはなりません。

 

 

 

世界一貧しい大統領として話題になった

南米ウルグアイのホセ・ムヒカ氏(José Alberto Mujica Cordano)による

2012年の国連でのスピーチが世界で賞賛され、また共感を得ました。

 

 

貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく

無限の欲望があり、いくらあっても満足しない人のことだ

 

 

 

ひとりの人間として、この世に生を受けて、どのような生き方をするか

 

その思いが深いほど、物欲、名誉欲、財産欲などは

 

消え失せるでしょう。

 

 

人間の幸せは、深く本質的なものです。

相対的な観点からの欲望の実現という次元ではありません。

 

 

 

そして次に、人はひとりでは生きていけないことを知る

 

周囲の人々を大事にし、ともに歩んでいくことの大切さを知る

 

 

 

自分を見つめ、個人として成熟すること

 

そして、周囲を見つめ、他者と助け合って一緒に生きる

 

 

このような思い、考えがないのなら

 

人類社会は長続きしません。