忠孝仁愛教化の道は、政治の大本にして、万世に亘り、宇宙に弥り、易う可からざるの要道也。道は天地自然の物なれば、西洋と雖も決して別無し。
(よく国に仕えること、親を大事にすること、他人に対して恵み、慈しむ心を若者に教えていく教育は政治の基本であり、未来永遠に全世界になくてはならない大事な道理だ。
道というものは天地自然のもの、あるがままのことであるから、洋の東西を問わず同じで、決して区別はないものである。)
<出典:「西郷南洲遺訓」桑畑正樹訳 致知出版社>
オリンピックが終わり、今日からパラリンピックが始まります。
アスリートは、まさに命を削らんばかりに自らの限界に挑戦し、
そして私たちに勇気を与えてくれます。
先日、車いすラグビー日本代表の主将である池選手が、
養護施設へ訪問している映像をテレビで見ました。
池選手は、若いころ交通事故で瀕死の重傷を負ったそうです。
幸いにも命は助かりましたが、その後40回以上の手術が必要だったとのこと。
その間、想像もできないほどの絶望の中に置かれたことと思います。
友人3人はその事故で他界し、
生き延びた自分は誰かに支えてもらうしかない状態。
そこから、彼は這い上がってきました。
そして、アメリカの車いすラグビーのリーグに加入し、
選手としての力量を高め続けました。
養護施設の子供たちは、彼の話やプレーに興味津々、
旧友であったかのように触れ合う中、
心の奥深くから発せられる応援の声が聞こえました。
子供たちは、きっと、日々を生きる意欲を高められたでしょう。
そして、生き抜く力も得られたことでしょう。
今日の言葉の「国に仕える」という部分は、「公に対して自分の責務を果たせと置き換えても良い」と、訳者の桑畑正樹氏は解説しています。
一人一人が自分の責務を果たすこと、
これは、国そして世界を良くするために普遍の、そして不変の真理です。
コロナ禍において、
・アスリートの役割は、世の人々に勇気と感動を与えること。
・私たちはホームステイすること。
(これも役割、そして貢献です。)
「アスリートに対して出場するな」と促すのは、
私たちに「ホームステイするな」と促すことと同じであることがわかります。
他人が担う役割に口出しすることなく、
自らの役割を果たしていくことで世に貢献する、
これが最も大切なはず。
現下、世界中に猛威を振るう新型コロナ・ウイルスは、近代稀な禍です。
過去の経験則では対処できないほどの、相当な強かさを持っているようです。
であればこそ、私たちはこの状況から新しい知恵を学ばねばならないはずです。
ホモ・サピエンスという種としての新しい英知を獲得する時です。
改めて今一度、自らの役割をしっかり見つめ直したいものです。