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COLUMNSブログ「論語と算盤」

一人一人の役割

2021年8月24日

忠孝ちゅうこう仁愛じんあい教化の道は、政治の大本たいほんにして、万世にわたり、宇宙にわたり、からざるの要道ようどうなり。道は天地自然の物なれば、西洋といえども決して別無し。

(よく国に仕えること、親を大事にすること、他人に対して恵み、慈しむ心を若者に教えていく教育は政治の基本であり、未来永遠に全世界になくてはならない大事な道理だ。

 道というものは天地自然のもの、あるがままのことであるから、洋の東西を問わず同じで、決して区別はないものである。)

<出典:「西郷南洲遺訓」桑畑正樹訳 致知出版社>

 

 

オリンピックが終わり、今日からパラリンピックが始まります。

 

 アスリートは、まさに命を削らんばかりに自らの限界に挑戦し、

そして私たちに勇気を与えてくれます。

 

 

 先日、車いすラグビー日本代表の主将である池選手が、

養護施設へ訪問している映像をテレビで見ました。

 

 池選手は、若いころ交通事故で瀕死の重傷を負ったそうです。

 幸いにも命は助かりましたが、その後40回以上の手術が必要だったとのこと。

その間、想像もできないほどの絶望の中に置かれたことと思います。

 

 友人3人はその事故で他界し、

生き延びた自分は誰かに支えてもらうしかない状態。

 

 

そこから、彼は這い上がってきました。

 

 そして、アメリカの車いすラグビーのリーグに加入し、

選手としての力量を高め続けました。

 

 

 養護施設の子供たちは、彼の話やプレーに興味津々、

旧友であったかのように触れ合う中、

心の奥深くから発せられる応援の声が聞こえました。

 

子供たちは、きっと、日々を生きる意欲を高められたでしょう。

そして、生き抜く力も得られたことでしょう。

 

 

 

 今日の言葉の「国に仕える」という部分は、「おおやけに対して自分の責務を果たせと置き換えても良い」と、訳者の桑畑正樹氏は解説しています。

 

 一人一人が自分の責務を果たすこと、

これは、国そして世界を良くするために普遍の、そして不変の真理です。

 

  

 

       コロナ禍において、

 

        ・アスリートの役割は、世の人々に勇気と感動を与えること。

        ・私たちはホームステイすること。

(これも役割、そして貢献です。)

 

 

 「アスリートに対して出場するな」と促すのは、

私たちに「ホームステイするな」と促すことと同じ・・・・・・・・・・・・・・・・・であることがわかります。

 

 他人が担う役割に口出しすることなく、

自らの役割を果たしていくことで世に貢献する、

これが最も大切なはず。

 

 

現下、世界中に猛威を振るう新型コロナ・ウイルスは、近代稀な禍です。

過去の経験則では対処できないほどの、相当なしたたかさを持っているようです。

 

 

であればこそ、私たちはこの状況から新しい知恵を学ばねばならないはずです。

ホモ・サピエンスという種としての新しい英知を獲得する時です。

 

 

 

改めて今一度、自らの役割をしっかり見つめ直したいものです。