今回は、架空のBSとPLを用いて、CF計算書を間接法で作成してみます。
前回までの内容をほぼ踏襲した流れにしています。
PLは営業CF(ⅰ)から用いているもので、BSは今回新しく設定しており、以下に表示します。
そして、このPLとBSをもとに作成したCF計算書が以下となります。
このCF計算書の作成について確認していきます。
(1)営業キャッシュフロー
①税引前当期純利益・・・PLから、税引前当期純利益70をキャッシュ・プラスとして計上します。
②減価償却費・・・営業CF(ⅱ)で説明したように、PLに計上された減価償却費50をキャッシュ・プラスとして計算します。
③売掛金の増減・・・営業CF(ⅰ)で説明しました。〔当期-前期〕で変化を見ます。BSを確認すると、〔100-90=10〕、つまり前期より増加しているので、その分10をキャッシュ・マイナスとして計算します。
④棚卸資産の増減・・・上記③と同様で、〔150-30=120〕なので120のキャッシュ・マイナスです。
⑤買掛金の増減・・・こちらも営業CF(ⅰ)で説明したように、〔当期-前期〕で変化を見ます。BSを確認すると〔70-50=20〕、つまり前期より増加しているので、その分20をキャッシュ・プラスとして計算します。
⑥未払費用の増減・・・上記⑤と同様の対処となりますが、〔30-40=△10〕と減少しています。よって、その分10をキャッシュ・マイナスとして計算します。
⑦法人税等の支払額・・・これは初めて説明します。前年の未払法人税等をBSで確認し、その金額を計上します。未払法人税等は、期末決算日から2ヶ月以内に納付します。
よって、X-1期の3月末の未払法人税等は、X期の期中に支払うことになります。
BSで確認すると、前期の未払法人税等は10なので、10をキャッシュ・マイナスで計算します。
以上で営業CFは終わりで、小計は△10となります。
(2)投資キャッシュフロー:建物の購入
ここはやや複雑にしています。前提として、PLの減価償却費の全額は、建物を対象としたものとします。
建物は、前期末の残高が60なので、減価償却費50の計上によって、帳簿価格は10になるはずです。しかし、当期末の残高が30になっていることから、差額の20だけ建物を新しく取得したことになります。
よって投資キャッシュフローでは、新規取得額の20を、取得したこのX期のキャッシュ・マイナスとして計算します。
◆フリーキャッシュフロー(FCF)
営業CFが△10、投資CFが△20、両者合計のFCFは△30となります。
(3)財務キャッシュフロー:借入金の増減
こちらも今回設定したものです。BSの〔当期-前期〕で変化を見ます。
短期借入金は〔100-80=20〕と増加しているのでキャッシュ・プラス20、長期借入金も〔140-120=20〕と増加しているのでキャッシュ・プラス20、両者合計でキャッシュ・プラス40となります。
◆当期キャッシュ増減(FCF+財務CF)
以上から、当期キャッシュ増減は〔FCF△30+財務CF40=10〕となります。
最後に、期首の現金預金残高つまり期首キャッシュ残高は110なので、上記で算出した当期キャッシュ増減を加算すると、X期の期末キャッシュ残高は120となり、BSのX期の現金預金残高と一致します。
以上が、間接法によるキャッシュフロー計算書作成方法のポイントです。
(ちなみに、冒頭であげたBSの繰越利益剰余金が50増えているのは、PLの当期純利益が内部留保として加算されたからです。)
次回は、キャッシュフロー計算書のまとめとします。