今回は投資CFと財務CFを確認します。
投資キャッシュフローでは、何にどれだけ投資して、その結果どれだけキャッシュが減少したかが表されます。
代表的な勘定科目は、有価証券、投資有価証券、土地、有形・無形固定資産、長期貸付金、保険積立金などとなります。
投資ですので、基本的にはキャッシュ・マイナスとなります。
キャッシュ・プラスとなる要因としては、有形固定資産や有価証券の売却などとなりますが、一般的には項目も少なく、金額も小さめです。
間接法では、貸借対照表の主として固定資産の各勘定について〔当期末残高-前期末残高〕で算出した値が正であれば、キャッシュ・マイナスとして計算します。
これは、前期より当期の方が残高が増えたということであり、それはつまり資産を購入したわけで、対価としてのキャッシュが会社から出ていったという、当たり前の状況を意味します。
投資CFは基本的にマイナス基調となるため、キャッシュフロー計算書の初回にも述べたように、営業CFがマイナスであるなら、多くの場合、営業CFと投資CFを加算したFCF(フリー・キャッシュフロー)もマイナスになります。
それでは続いて、財務キャッシュフローです。
財務CFでは、主に資本取引によって、どれだけキャッシュが増減したかが表されます。
代表的な勘定科目として、まず長期・短期の借入金があげられます。借入を行ったらキャッシュ・プラス、借入金の返済を行ったらキャッシュ・マイナスとなります。
間接法では、貸借対照表の負債勘定の長短借入金を、〔当期末残高-前期末残高〕で算出し、その値が正であればキャッシュ・プラスとして計算します。
次に、配当金の支払額があげられます。こちらは出金のみですので、配当を出したらキャッシュ・マイナスとして計上します。
他には、増資・減資、自己株式の取得・売却などについて、〔当期末残高-前期末残高〕で算出し、キャッシュのプラス・マイナスを計上します。
以上が、キャッシュフロー計算書の概略です。
まとめると、〔営業CF+投資CF+財務CF=当期のCF増減〕となるわけです。
ところで、CF計算書が示唆するものや、マネジメントの視点として得られる知見は様々です。
例えば、次期のCFを検討する場合、銀行等から借入金があるのなら、財務CFで返済、つまりキャッシュ・マイナスになることが前提となります。
すると、FCFでプラスにしておかねば返済が不可能になります。
仮に次期の返済額が100として、投資CFで60の投資計画があるような場合、営業CFで160を生み出さなければなりません。
減価償却で30を計上する予定であれば、残りは130。
売上高を拡大して税引前当期純利益で130生み出せば良いと思われますが、そうはいかないでしょう。
売上高の拡大は、売掛金の増大につながるでしょう。
売掛金残高について、〔当期末残高-前期末残高〕がプラスになるのであれば、その分がキャッシュ・マイナスとなります。
また、最適在庫量を4週間分と設定して実現できたとしても、売上高が拡大すれば同じ「4週間分」でも在庫の実額は増大します。
すると棚卸資産残高が、〔当期末残高-前期末残高〕でプラスになってしまいます。
ではどうするか?
まずは、PL計画を見直すことで上記のような問題をあぶり出し、どう克服するか施策立案が必要です。そして、それらは実現可能なのかどうかについて、社内各部署との擦り合わせも欠かせません。
もっとも、売上の拡大が可能なら、それは成長期として捉えられるかもしれず、もしそうなら借入金の拡大も止む無しという判断を下すのも適切な場合もあるでしょう。
CF計算書は、PLの収益計画とは違った観点から重要な改善事項が見い出せるという、大きな意義があります。
ぜひ、自社のCF計算書を精査して、今後の経営良化に役立ててみてください。
それでは次回は、架空のPLとBSを基に、間接法によるCF計算書を作ってみましょう。