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有価証券報告書 財務分析
<電子部品業界・・・第6回>
~最終回~
第6回分析テーマ・・・投資力
分析指標値:営業CF対投資CF比率、
各社別の営業/投資CF推移、
ROIC、WACC
(各指標の説明サイトはこちら)
【営業CF対投資CF比率】
〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕
最も100%に近いのは日本電産であり、次がTDKです。
続いて村田製作所、そして京セラとなります。
各社の推移を見ていきます。
【各社別 営業/投資CF推移】
〔実額ベース〕
日本電産の直前期の営業CFは、前年比で半減しています。
直前期は、棚卸資産の1,142億円の増加、および営業債権の685億円の増加を主因として、前年より1,242億円減少しました。
一方、投資CFは、2020.03期こそ大きかったのですが、直近2期は1,000億円強のレベルに留めています。
以上の結果、直前期のFCF(フリー・キャッシュフロー)はマイナス176億円となりました。
TDKの営業CFは、2期連続で増加していましたが、直前期で減少しました。
直前期は、長期前渡金の1,122億円の増加と、棚卸資産の1,084億円の増加を主因として、前年より519億円減少しています。
一方、投資CFは、固定資産の取得による支出を主因として、直近2期で大きく増大しています。
以上の結果、直前期のFCFはマイナス1,026億円となりました。
京セラの営業CFは、4期間を通じて安定しています。
内容を見ると、2期連続で減少していた棚卸資産が、直前期に853億円増大しています。
一方、投資CFは、2期連続で増加していましたが、直前期では減少しました。
直前期は、有形・無形固定資産の購入による支出は増していますが、事業取得による支出などが減少しています。
以上の結果、直前期のFCFは前年比で大きく拡大しました。
村田製作所の営業CFは、3期連続で拡大しています。
直前期の高い伸び率の要因は、棚卸資産が膨らんだものの、当期純利益が相当に大きかったためです。
一方、投資CFは、2期連続の減少の後、直前期ではやや拡大しています。
主だった要因は、事業の取得で488億円、短期投資の増加で167億円などとなります。
以上の結果、直前期のFCFはほぼ前年並みとなっています。
【ROIC】
〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕
トップは村田製作所です。
2期連続で上昇しており、直前期は4期間で最高値となっています。
なお、「中期方針2024」において、ROIC目標=20%以上を掲げています。
2番手は日本電産です。
直前期は前年より下がりましたが、比較的高いレベルを維持しています。
なお、新中期戦略目標(Vision2025)では、「2021~2022年度のROIC=10%以上」、さらに「2023年度~2025年度のROIC=15%以上」を掲げています。
続いてTDKです。
直前期に上昇しており、4期間中での最高値になっています。
そして京セラです。
直近は4期中での最高値ですが、他社に比較するとやや低めでの推移です。
【WACC】
〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))
+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕
〔ROIC-WACC〕が唯一プラスなのが村田製作所です。
ただし、資本構成を見ると、株主資本97.8%、負債2.2%であることから、勢いWACCの値が高くなっています。
ROICがすこぶる高いレベルであっため、両者の差もプラス5.1と良好です。
2番手はTDKであり、マイナス0.5です。
ROICはほぼ申し分ない値ですが、WACCが高くなっています。
資本構成は、株主資本74.5%、負債25.5%となっており、低金利である負債の活用が少なめになっています。
続いて日本電産で、マイナス1.4です。
ROICはかなり良好ですが、89.0%の株主資本、11.0%の負債という資本構成から、WACCが高くなっています。
そして京セラで、マイナス2.5となっています。
株主資本96.5%、負債3.5%であり、やはり株主資本が多くなっています。
今回の「投資力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
※営業CF対投資CF比率の順位は、100%との乖離幅が最小となる会社から1~4位としています。
また、全6回の分析における順位の
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
以上で、電子部品業界を終了します。
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