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COLUMNSブログ「論語と算盤」

ドラッグストア業界-1

2022年9月26日

今回からドラッグストア業界を取り上げます。

 

取り上げる会社は次の4社です。

 

ウエルシアホールディングス株式会社2月決算)

株式会社ツルハホールディングス  5月決算)

株式会社コスモス薬品       5月決算)

株式会社サンドラッグ       3月決算)

 

※なお、株式会社マツキヨココカラ&カンパニーの売上高規模が7,300億円となっています。

ただし、2021年10月1日の合併で、新会社としての実績が6ヵ月であること、また前年比較が取りづらいことなどから、今回は取り上げません。

 

 

1回の今回は「経営規模」を確認します。

 

取り上げる実績値は、売上高推移営業利益推移

総資産推移従業員数推移です。

 

売上高推移

 

 トップウエルシアHDです。

直前期の売上高は、前期比108.0%の1259億円となりました。

3期連続の伸長であり、伸び率も4社中で最も高くなっています。

有報を確認すると、既存店売上高伸長率は、計画値の103.4%に対して実績値が102.6%と、0.8ポイント計画に及びませんでした。

それに対して出店数では、計画値の127店に対して実績値が144店と、計画を17店舗上回っています。

中期経営計画の最終年度となる今期末(2023.02期)の業績予想は、当初計画1兆800億円に対して1兆1,100億円と上積みされています。

 

 2番手はツルハHDです。

直前期の売上高は、前期比99.6%の9,157億円となりました。

前年の2021決算期は109.3%と高い伸び率でしたが、直前期は低下しました。

有報によると、この要因は前期の巣ごもり需要の反動減や季節商材の不振などにより既存店売上高・来店客数が前年を下回る水準で推移したためとのことです。

店舗数については、国内の出店数は159店、閉店数は57店、差し引き102店舗の純増となっています。

なお、3年後の2025年5月期は1兆600億円を目標にしているとのことです。

 

 続いてコスモス薬品です。

直前期の売上高は、前期比104.0%の7,554億円となりました。

伸長率を見ると鈍化してはいますが、3期連続の増大です。

ちなみに、売上高の58%近くを一般食品が占めていることが当社のひとつの特徴です。

 

 そしてサンドラッグです。

直前期の売上高は、前期比102.3%の6,487億円となりました。

伸長率は、他社と比較すると小さめですが、3期連続で着実かつ安定的に伸ばしてきています

今回の4社中では唯一、次の2つの事業セグメントに分けており、両セグメントとも前年より拡大しています。

 ドラッグストア事業

  直前期の売上高・・・前期比100.6%の4,248億円

 ディスカウントストア事業

  直前期の売上高・・・前期比105.5%の2,699億円

 

 

営業利益推移

 

 トップウエルシアHDです。

4社中で唯一の前年超えですが、その伸び率は100.1%とわずかです。

売上高の対前年比は前述のように108.0%、売上原価は107.9%、販管費は109.8%となっており、販管費の伸びがやや高くなっています

 

 2番手はツルハHDです。

高い水準で推移していましたが、直前期は前年比83.9%と比較的大きく低下しました。

有報によると、新型コロナウイルス感染症対策商材の在庫評価の見直し、原油価格の高騰などによる水道光熱費の増加、キャッシュレス決済額増加に伴う支払手数料の増加などが要因のようです。

 

 続いてサンドラッグです。

2期連続で伸長しましたが、直前期は前年比91.2%となりました。

セグメント別には以下のとおりです。

 ドラッグストア事業

  直前期の営業利益・・・前期比86.6%の217億円

  想定以上の原油価格上昇による光熱費等の増加が主因のようです。

 ディスカウントストア事業

  直前期の営業利益・・・前期比100.5%の124億円

  前年より増えましたが、やはり光熱費等の増加が大きかったようです。

 

 そしてコスモス薬品です。

2期連続での高い伸び率でしたが、直前期は89.9%と比較的大きく低下しました。

売上高の対前年比は前述のように104.0%、売上原価は103.9%、それに対して販管費は108.7%となっており、販管費の伸びが高くなっています

 

 

総資産推移

 

 最大なのはツルハHDです。

3期連続の拡大です。

2021決算期の急拡大は、純資産が前年比110.2%で250億円強の増加、長期借入金が同433.3%で210億円強の増加、また買掛金を筆頭に流動負債も増えました。

資産においては、売掛金(前年比150.4%、150億円強増加)、棚卸資産(同117.9%、190億円強増加)、そして現金預金(同204.2%、600億円弱増加)が増えています。

 

 2番手はウエルシアHDです。

伸び率は鈍化していますが、3期連続の拡大です。

直前期の有利子負債の伸び率は170.0%、100億円強の増加です。

それに対して純資産の伸び率は115.3%、200億円強の増加となっています。

 

 続いてコスモス薬品です。

3期連続の拡大です。

有利子負債は3期連続で減少(前期比で82.6%79.0%78.7%という推移)しており、直前期では44億円弱となっています。

一方、純資産は3期連続の二桁増加であり、直前期では1,905億円となっています。

 

 そしてサンドラッグです。

3期連続の拡大です。

当社は完全無借金経営なので有利子負債はありません

純資産は110%前後の拡大を続けています。

 

 

従業員数推移

 

 トップウエルシアHDです。

3期連続で二桁の伸び率となっています。

 

 2番手はツルハHDです。

直前期の増員はやや抑制されています。

 

 続いてサンドラッグです。

毎年105%前後で増員させています。

 

 そしてコスモス薬品です。

2021決算期の増員率は大きかったのですが、直前期はやや抑制気味です。

 

 

今回の「経営規模」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

今回は以上です。

 

次回は、収益性の中の「利益創出力」を見ていきましょう。

 

 

 

 

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