ドラッグストア業界の2回目です。
今回は、売上高利益率からみる収益性で「利益創出力」の分析です。
取り上げる指標は、総資本経常利益率、売上高総利益率、
売上高営業利益率、売上高当期純利益率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【総資本経常利益率】
〔総資本経常利益率=経常利益÷総資本(負債+純資産)〕
トップはサンドラッグです。
ただし、3期連続の低下となっています。
経常利益の伸長率が3期連続で低下しており、直前期は前年割れの90.9%となっています。
一方、総資本は3期連続で伸長しています。
2番手はウエルシアHDです。
前年よりわずかですが低下しました。
前回述べたように、営業利益は前年比で100.1%と微増、そして経常利益は103.9%と上昇しました。
その一方、総資本が106.3%と膨らんでいます。
ただし、他の3社が比較的大きく低下している中、ほぼ横ばいで10%台と高いレベルを維持している点は力強く映ります。
なお、中期経営計画の最終年度となる今期末(2023.02期)における経常利益の業績予想は、当初計画540億円に対して516億円と下方修正されています。
売上高は上方修正だったのですが、販売費及び一般管理費が膨らむためとのことです。
続いてコスモス薬品です。
前年の2021決算期は比較的大きく上昇しましたが、直前期はそれ以上の度合いで低下しました。
2021決算期は総資本の伸び率を上回る経常利益の伸び率でしたが、直前期は総資本が伸長する中、経常利益は前年割れの91.7%となっています。
そしてツルハHDです。
3期連続の低下であり、特に直前2期の低下度合いが大きくなっています。
2021決算期は、経常利益が前年比103.0%に対して総資本は129.7%と大きく膨らみました。
そして直前期では、経常利益が前年割れの84.0%となり、総資本は104.7%の伸び率となっています。
【売上高総利益率】
〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕
トップはウエルシアHDです。
安定しており、3期連続で拡大させています。
2番手はツルハHDです。
直前期は比較的大きく上昇しています。
続いてサンドラッグです。
直前期までの3期は計ったように25%ラインで安定していましたが、直前期は4社中唯一低下しています。
これは、直前期から「収益認識に関する会計基準」を適用したことが影響しているようです。
そしてコスモス薬品です。
過去3期は、「エブリディ・ロー・プライス」政策として、19%台での推移が狙いとも感じられます。
ただし、当社も直前期から会計方針を変更(「収益認識に関する会計基準」の適用)したため、その影響でやや上昇した様子です。
【売上高営業利益率】
〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕
トップはサンドラッグです。
3期連続の低下です。
2期連続で微かに、そして直前期は比較的大きく低下しました。
前回見たように売上高が安定的に伸長する中、営業利益の伸び率がそこまで高くなく、直前期は前年比91.2%と前年割れになったためです。
2番手はツルハHDです。
2期連続の低下であり、直前期の低下幅が大きくなっています。
直前期は、売上高と営業利益がともに前年割れの状況ですが、売上高は前年比99.6%、営業利益は83.9%となっています。
続いてウエルシアHDです。
過去2期連続で伸長していましたが、直前期でわずかに低下しました。
ただし、4社の中ではその低下度合いが最も小さくなっています。
売上高は前年比で108.0%と伸長しましたが、営業利益が100.1%と足踏みしたためです。
そしてコスモス薬品です。
2期連続で伸長した後、直前期で比較的大きく低下しました。
売上高は3期連続の増大ですが、営業利益は前年割れ(前年比89.9%)となりました。
【売上高当期純利益率】
〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕
トップはサンドラッグです。
4%近隣の推移となっています。
2番手はコスモス薬品です。
2021決算期を除けば3.1%ラインを維持する形になっています。
続いてウエルシアHDです。
2期連続で上昇した後、直前期では低下しました。
そしてツルハHDです。
2期連続で低下となりました。
今回、特に気になったのは、サンドラッグの利益率の良さでした。
今回の「利益創出力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。
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