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COLUMNSブログ「論語と算盤」

本業以外の損と益

2021年6月10日

今回は営業利益以降を確認します。

 

 

営業利益は、定款に記載された本業の利益を表すわけですが、

事業活動では、それ以外の収益や費用も発生します。

 

 

 本業以外の収益は「営業外収益」と呼ばれ、受取利息配当金が代表的な項目となります。

 

会社として事業を行う場合、ほぼ銀行口座を開設することになります。取引先からの支払いを受けるためにも不可欠です。すると、いくら低金利時代とは言え、いくばくか金利が付きます。

つまり、どんな会社でも「受取利息」が生じるわけです。

 

また、企業として他社の株式を保有している場合は「配当金」が入るため、それも営業外収益です。

 

 

 本業以外の費用は「営業外費用」と呼ばれ、支払利息が代表格となります。

 

会社運営では、通常は先立つものが必要となります。資本金で賄えないのなら、銀行からの借り入れを行うことになります。すると当然、利息を支払う必要が出てきます。

これを「支払利息」として計上するわけです。

 

 

  上記以外にも、本業以外でほぼ毎年生じる収益があれば「営業外収益」として、

               同様な費用があれば「営業外費用」として計上します。

 

 

 余談ですが、時折「借金の返済分は、営業外費用に計上されるのか?」という質問を受けることがあります。意外にも、多くは経営層の方からです。

 

回答は、借金の返済は資本取引なので、損益計算書には計上しないということになります。

 

借入や借金の返済は、貸借対照表における他人資本を変動させます。

他にも社債の発行や償還も他人資本を変動させますし、増資や減資の場合は自己資本を変動させます。

このように資本を変動させる取引は「資本取引」と呼ばれ、損益計算書に計上してはなりません。

 

損益計算書には、「損益取引」と呼ばれる項目のみを計上します。

 

   以上から、借入の元本返済は損益計算書に計上してはなりませんが、

    金利(受取り、支払いとも)は損益取引になるため損益計算書に計上されます。

 

 

 さて、本題に戻ります。

営業利益に営業外利益を加算し、営業外費用を減算することで、「経常利益」が算出されます。

(ケイツネと呼ばれたりします。ケイジョウだと「形状」や「計上」と混乱するためですね。)

 

 

経常利益は、経常的な事業活動を行った上で生み出した利益として認識されます。

 

平たく言うと、会社を運営していれば銀行口座を開設しなきゃならんだろうから利息は入ってくるし、借金もするだろうから利払いも生じるだろう、

つまり本業のみならず、経常的な活動の結果生み出された利益となります。

 

 この意味合いから、一般的に「利益」と呼ぶ場合、多くは「経常利益」をさしています。

例えば「増収増益」という場合、「増収」は収入が増したこと、つまり売上高が増えたことを意味し、「増益」の部分は大抵の場合、経常利益が増えたということをさします。

 

 

ちなみに、国際会計基準・米国会計基準には経常利益の概念はなく営業利益の次は税引前当期純利益となります。次回、これらの理由についてコメントしたいと思います。

 

 

 ところで、営業外収益について、過去にこんな事例がありました。

その会社は、最終利益と経常利益がともに黒字なのですが、営業利益は大赤字になっていました。

カラクリというほどのことはありませんが、要するに営業外収益が多額だったのです。

 

 それで、その営業外収益の中身を見てみると、子会社からの家賃収入となっています。

自社の敷地建物の一部を子会社に貸し出して、家賃を受け取っていたのです。

非上場企業でもあり、そのこと自体には何も問題はありませんでした。

営業赤字分は完全にカバーされ、営業外費用を控除しても経常利益は黒字になっていました。

 

ただ、その子会社は創業間もない若い会社で赤字続きでした。

 

 経営者は人物的にも真面目な方であり、「うちは黒字企業だ」という自負も持っていたようでした。

 地域の法人会への参加やその他社外活動に精力的に取り組んでいました。

 

 

しかし、外部から見ると、この会社の状態は正常ではありません

 

 述べてきたように、本業が赤字であれば、

何らかの抜本的な改善を行わない限り、事業存続は危ぶまれます。

 

 まして、最終黒字になっている「頼みの綱」は子会社の家賃収入ですが、もしこの子会社の赤字が続いて破綻してしまうと、営業外収益が無くなるため経常赤字、ひいては最終赤字となるでしょう。

 

「親ガメこけたら、子ガメもこける」のは一般論ですが、

この会社は「子ガメこけたら、親ガメこける」という砂上の楼閣の上に成り立っていたのです。

 

 コンサルティングでは、経営層および子会社経営層に対して、現状のままでは共倒れもあり得ること、そして金融機関からの借入も難しいという点を納得してもらい、事業の改善に取り組んでもらうこととなりました。

 

 

 次回は、恒常的でなく、突発的に発生する収益や費用を計上する

特別利益・特別損失を見てみましょう。