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COLUMNSブログ「論語と算盤」

収益獲得への道

2021年6月8日

今回は固定費と変動費の状況によって、会社の収益がどう変化するかを考えてみます。

 

 

次のような費用構成の2つの業種を題材とします。

ともに売上高はひと月100万円で、営業利益額は8万円という現状です。

 

 

卸売業:小売店への商材卸を想定

 🔶750円で仕入れた商品を1,000円で卸売販売しています。

 🔶ひと月当たり1,000個販売しており、売上高は100万円です。

 🔶売上原価は75万円となり(=変動費)、粗利益(=限界利益)は25万円です。

 🔶そして、ひと月当たりの固定費は17万円、よって営業利益は8万円となっています。

 

サービス業:美容・理容室を想定

 🔷1時間5,000円の料金でサービス提供しています。

 🔷顧客1名あたり、シャンプーやリンス代として1,000円かかっています(変動費)。

 🔷ひと月当り200人の顧客に対応し、売上高は100万円です。

 🔷変動費は20万円となり、限界利益は80万円です。

 🔷ひと月当たりの固定費は72万円であり、営業利益は8万円となっています。

 

 

まず、不況に対する抵抗力を比較してみましょう。

 

    2020年のコロナ感染症の影響で、販売数量・顧客数が減少したとして、

どの程度まで耐えられるでしょうか?

 

卸売業・・・販売数量が3割減っても利益は出ます。

 ① 売上高=販売単価1,000円×(1000個×0.7700個)=700,000

 ② 限界利益=売上高700,000円-(変動費750円×700個)=175,000

 ③ 営業利益=限界利益175,000円-固定費170,000円=5,000

 

サービス業・・・顧客数が1割減少しただけで利益が無くなります。

 ① 売上高=販売単価5,000円×(200人×0.9180人)=900,000

 ② 限界利益=売上高900,000円-(変動費1,000円×180人)=720,000

 ③ 営業利益=限界利益720,000円-固定費720,000円=0

 

卸売業の方が、売上低下に対する抵抗力が大きいといえます。

 

コロナ禍のように、需要量が減少する環境下では、固定費が大きい業種、

例えばレジャーランドやスポーツジムなどのサービス業の赤字額が大きくなります。

 

 

 

次に、値引販売(低価格戦略)の結果を比較します。

低価格でライバルを出し抜く戦略は、どの程度効果的でしょうか?

 

☆両業種とも、販売価格を10%低下させて、その効果として販売数量が20%増加するとします。

 

卸売業・・・8万円の利益が1万円へ、9割ほど大きく減少してしまいます。

 ① 売上高=(販売単価1,000円×0.9)×(1,000個×1.2)=1,080,000

 ② 限界利益=売上高1,080,000円-{変動費750円×(1,000個×1.2)}=180,000

 ③ 営業利益=限界利益180,000円-固定費170,000円=10,000

 

サービス業・・・8万円の利益が12万円へ、1.5倍の大きな増加となります。

 ① 売上高=販売単価(5,000円×0.9)×(200人×1.2)=1,080,000

 ② 限界利益=売上高1,080,000円-{変動費1,000円×(200人×1.2)}=840,000

 ③ 営業利益=限界利益840,000円-固定費720,000円=120,000

 

値引販売の結果はほぼ真逆の結果となります。

 

 

的を射た施策を打たないと、ほとんど徒労に終わります。

 

収益を獲得するには、固定費変動費を区分した上で戦略を検討することが必要です。

 

 

日々の活動を無駄にすることなく、成果につなげていかねばなりません。