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COLUMNSブログ「論語と算盤」

家電量販業界-4(2022)

2022年8月4日

家電量販業界の4回目です。

 

今回は、「資本活用力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、総資本回転率売上債権回収日数

棚卸資産回転日数流動比率自己資本比率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本回転率

〔総資本回転率=売上高÷総資本〕

 

 トップエディオンです。

2020期は、売上高が前年比102.1%、総資本が前年比98.3%となり、当指標が高まりました。

2021期は、売上高は104.7%とさらに高めましたが、総資本が110.3%とそれ以上になったため、低下しました。

直前期の2022期は総資本が97.9%と減少しましたが、売上高が92.9%それ以上に低下したため当指標が2期連続で低下しています。

 

 2番手はビックカメラです。

当社の他指標と同様に、2期連続で低下した後、直前期で上昇しています。

直前期では、負債の削減を主因とした総資本の減少(前年比96.3%)と、売上高が前年比98.4%と低減度合いが小さかったため、当指標が上昇しました。

 

 続いてケーズHDです。

2021期まで2期連続で上昇させましたが、直前期は低下しました。

直前期は、総資本が前年比103.3%と拡大しましたが、売上高は94.3%と低下しています。

 

 最後にヤマダHDです。

2期連続で小幅ながら上昇していましたが、直前期は低下となりました。

直前期は、総資本は前年比101.5%とほぼ横ばいですが、売上高が92.4%と比較的大きく低下しています。

 

 

売上債権回収日数

〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 回収日数が最短なのはケーズHDです。

ただし、2期連続で長期化してきています。

直前期は売上高が低下しているにもかかわらず、回収日数が伸びてします。

キャッシュレス決済の広がりが原因と推察します。

 

 2番目に短いのがビックカメラです。

2021期まで2期連続で長期化していましたが、直前期で短縮化させています。

直前期(2021.08期)の売上高が前年比98.4%と微減した中、売掛金残高が91.5%と大きく減少しました。

 

 続いてヤマダHDです。

2期連続で長期化してきています。

売上高は前年比92.4%と減少しましたが、売掛金残高は101.0%とほぼ横ばいです。

 

 回収日数が最も遅いのはエディオンです。

当社も2期連続で長期化しています。

売上高は前年比92.9%、売掛金残高は101.5%という状況です。

総資本回転率はトップでしたが、構成要素の一つであるこの指標は貢献していません。

 

 

棚卸資産回転日数

〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕

 

 回転日数が最も短期間なのはビックカメラです。

もともと低いレベルでしたが、直前期ではさらに短縮化しています。

コロナ禍の巣ごもり需要を捉えきれず業績が悪化する中、改善可能な項目の良化に取り組んでいるように映ります。

 

 2番目に短いのはエディオンです。

資本回転率を構成するこの指標については相対的に良好です。

ただし長期化しており、棚卸資産の残高は107.3%、108.3%と2期連続で増加しています。

 

 続いて、ケーズHDです。

2020期、2021期と短縮化していましたが、直前期では伸びてしまいました。

2021期の棚卸資産残高は前年比110.1%と増加しましたが、売上高が111.9%とそれ以上の増加でしたので、当指標は短縮しました。

しかし直前期では、売上高が94.3%と低下したのに対し、棚卸資産残高が前年並みに109.4%と増大したため、比較的大きく悪化しています。

 

 最も回転日数が長いのがヤマダHDです。

4期間とも月商の3ヶ月分近くと、恒常的に長期となっています。

また、直前期はさらに長期化しています。

先ほどの売上債権回収日数とこの指標を合わせて見ると、当社は下位に位置付けられます。

冒頭の総資本回転率が4位であることの主要因と捉えられます。

 

 

流動比率

〔流動比率=流動資産÷流動負債〕

 

 トップエディオンです。

2期連続で減少していますが、問題のないレベルで推移しています。

直前期は、流動資産が微減する状況下(前年比99.0%)、契約負債が300億円近く生じたことから流動負債が前年比105.0%と膨らみました。

 

 2番手はケーズHDです。

2021期はトップでしたが、直前期ではやや大きめに低下しています。

流動資産は増大していますが、短期借入金が直前期に180億円以上膨らんだことが影響しています。

 

 続いてヤマダHDです。

2020期で急上昇した後、2期連続で低下しました。

直前2期の推移は、流動資産が前年比112.7%・101.1%という推移に対して、流動負債は119.7%・109.6%というように伸び率が高くなっています。

 

 最後にビックカメラです。

2021期で急上昇させ、2022期はやや低下しました。

流動負債の直近2期の推移は、前年比で100.0%・99.8%と横ばいです。

流動資産のそれは、131.0%・94.3%と大きな上下変動が見られます。

 

 

自己資本比率

〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕

 

 トップケーズHDです。

60%台前半というレベルで、安定的に推移しています。

上場企業としては比較的高いレベルと言えるでしょう。

 

 2番手はエディオンです。

50%を切らないレベルで推移しています。

 

 続いてヤマダHDです。

当社も50%を軸に、安定的に推移しています。

 

 最後にビックカメラです。

4社の中では相対的に低いと捉えられますが、資本政策による想定通りの結果かもしれません。

 

 

今回、特に気になったのは

エディオン資本効率の良好

そしてそれとは逆のヤマダHDの資本効率の低さでした。

 

 

今回の「資本活用力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「資金力」を見ていきましょう。

 

 

 

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