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COLUMNSブログ「論語と算盤」

財務諸表を初歩から知り、仕事に活かす

2021年4月8日

経営数値から業績を読み解く

 

 多くの企業が3月決算ですので、4月は新しい期のスタート点となります。

 

 人生、学業、そしてビジネスも日々の活動が1年間の成果として把握されます。ビジネスには色んな巧拙が付きものですが、365日の積み重ねの結果は決算書に表れます。

 

 つまり、1年間の活動の結果を数値で表しているものが決算書です。このことは、裏を返せば、決算書の数値からその企業の活動がどういった内容だったかを洞察することも不可能ではないということを示しています。

 

 原因があって結果が生じるため、ではその結果から原因を探ってみようという話なのです。

例えば、利益の大小は何がどう影響したためなのか、資金の過不足はなぜ生じるのか、これらの原因を決算書から発見し、次年度にそれらを改善・活用する活動を行っていけば、自ずと業績は良くなるはずです。しかしながら、そんな取り組みを実行している会社は少ないように思われます。

 

 やれDXだのIoTなどともてはやされていますが、これらも過去の経験やデータの積み重ね(データベース)を活用して、一層便利にしようというものです。きちんと、過去のデータを活用してこそのツールです。

 

 それと同じように、地に足を付けて考えるのなら、身近な過去のデータである決算書をよくよく分析し、将来に活かさない手はありません。そういう、地道ではあるものの、根本的で核心をついた施策こそ、200年以上続く会社が3,000社もある日本企業の底力ではないでしょうか。(ちなみに、200年以上続く企業は、韓国はゼロ、中国は9社と言われています)

 

 そして決算書を活用するもう一つの効果は、ビジネスパーソンのスキルアップ、知見の拡大です。私は営業職を13年ほどやっていましたが、自分自身も仕事内容も、毎年同じことを繰り返しているようで、なかなかスパイラルアップできないことにもどかしさを感じていました。

何かで視野を拡大できないのか、思考のフィールドを広げるためのヒントはないのかと考えていた折、社会人2年目辺りですが、企業財務に関心を持ち始めました。まだ給料も少ない中、日本経済新聞社主催の半日セミナーに3万円強払って勉強しに行ったことを覚えています。正直に言うと、何が何だかわからない状態でしたが、心の中には正体の知れない高揚感がありましたね(笑)。

 

 時を経て、中小企業診断士として独立し、多くの会社のコンサルティング活動をする中で、たくさんの決算書をもとに、分析・アドバイスすることになりました。そこで得た知見は、今でも、決算書を見るときの私の判断基準となっています。そして、その「勘所」というべきものは、その企業の根本的な問題に直接関係していることが往々にしてあります。

 

 少々前置きが長くなりましたが、以上のことから、しばらく決算書をテーマとして、この「算盤」ブログを進めていきたいと思います。

会計的・簿記論的な内容ではなく、実際のビジネスに直結するような内容とし、楽しんでいただけるようにしたいと思っています。

(基本的に日本会計基準に基づいたコメントとし、必要時、国際会計基準、米国会計基準などの関連情報を交えたいと思っています。)

 それでは、また次回。