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COLUMNSブログ「論語と算盤」

道を志す者の七見識~事勢の識

2023年12月22日

人情の識有り、物理の識有り、事体の識有り、事勢の識有り、事変の識有り、精細の識有り、濶大かつだいの識有り。此れ皆兼ぬべからざるなり。而して事変の識は難しと為す、濶大の識は貴しと為す。〔事勢〕

(事勢の識。問題や事件というものは千変万化してやまないエネルギーを持っておって、決して静止したものではない。機械的・論理的に動くものではない。そういう意味においては時勢である。その微妙なエネルギーの動きをとらえる見識が事勢の識であります。)

<出典:『呻吟語を読む』安岡正篤著 致知出版社>

 

 

 

 

微妙な動き

 

それは “ 兆し ” です

 

 

 

日頃から兆しを気にしていますか。

 

どうやら調子が良いとき、逆に慎重さを心掛け、周囲の変化を確認したいものです。

 

一方、どうやら調子が悪いとき、兆しを見出そうとするより、自らの力を高めることで浮かび上がろうとします。

 

それによって自力が高まることは悪いことではありません。

 

しかし、浮かび上がるときというのは、自力で得るというより、ほとんどの場合ちょっとしたご縁のおかげや、些細なきっかけであったりするものです。

 

どうやら調子が悪いときというのは、それ自体が “ 兆し ” なのでしょう。

 

 

 

“ 兆し ” は、事の後から、そういえばあんなことがあったなと気づくことが多いものです。

 

自分の周囲のわずかな変化についてさえ、一つの兆しとして客観的に捉えられれば、安らかな心の状態を維持できるのではないでしょうか。

 

 

 

 

東洋古典の『易経』は、“ 時 ” と “ 兆し ” の専門書と言われています。

 

大空を舞う龍の成長を例えに、時と兆しを見極める人生発展のコツが示されています。

 

 

せんりゅうけんりゅうくんしゅうじつ乾乾かんかんす、やくりゅうりゅうこうりゅうという六段階において、特に躍龍の段階では、“ 時 ” と “ 兆し ” を見極める「観る力」を養うときとされています。

 

次の飛龍になる時が満ちているのか、正しく判断しないと地に落ちてしまうのです。

 

 

そして首尾よく飛龍になったとして、大きな仕事を成し遂げた後、亢龍に下る最終段階を迎えます。

 

もしも飛龍でおごり高ぶる者であるなら、すぐに亢龍へと進みそのまま消え去ります。

 

 

亢龍では、洞察力が衰え、時と兆しが見極められなくなるのです。

 

 

しかし、亢龍には亢龍の大切な役割があります。

 

よって、何もかもがうまくゆく飛龍の段階でも驕り高ぶることなく、緩やかに、徐々に亢龍の段階に向かうよう、慎重に事に対処することが肝要です。

 

<参考:『人生に生かす易経』竹村亞希子著 致知出版社>

 

 

 

天の行いである天道

それだけを待っていては

人が生き延びることは困難です

 

 

天の理を認識した上で

 人道において生きていくこと

  そして成長していかねばなりません

 

 

 

成長とは

ひとり一人の人間学の高まりです

 

 

天道に沿う人道を行い

成長し続けるには

“ 兆し ” を捉えることが肝要です。