翁に従て犬を駆り兎を追い、山谷を跋渉して終日猟り暮らし、一田家に投宿し、浴終りて心神いと爽快に見えさせ給い、悠然として申されけるは、「君子の心は、常に斯の如くにこそ有らんと思うなり」と。
(南洲翁に従って犬を連れてウサギを追い、山や谷を歩いて一日中、狩りをしてまわった。そして、田舎の家に宿泊し風呂に入り、身も心も爽快になった時、南洲翁が悠々として言われた。
「本当の君子の心は、いつもこのように満ち足りて、爽やかなものであろうと思う」と。)
<出典:「西郷南洲遺訓」桑畑正樹訳 致知出版社>
あけましておめでとうございます。
新春にふさわしい言葉となりました。
人物になること 人として成熟すること
それは心が爽やかであること
その人が現れただけで心が柔らかくなる
そんな人は滅多にお目にかかれません
はたしてどんな人なのか
平澤興師は、「一流の人は明るい人である」とされます。(注)
そして、「人格の深さ」と「落ち着いた態度」も見て取れるとのこと。
また、「年をとって、あまりかしこそうでは一人前ではない」とも。
「大賢は大愚に似たり」とし、「他人から悪口を言われても、なお喜べるような人」、「何を言われても拝んでゆける人」となれば、「それは達人であり、大した者である」とのこと。
「ほんとうの大物は、よい意味でどこか足らぬところがある。それがまた魅力であり、風格である。」
「他人の欠点が目につく間はまだ駄目」だそうです。
「それが飾りものになるようななおし方」をしてあげることが大切。
そして、自らの癖や欠点でさえ「飾りものに見えてくれば、ほんもの」とのことです。
(注)以降ここまでの「」内の文言は、
「平澤興語録 生きよう今日も喜んで」
(致知出版社)より引用
「人生は にこにこ顔で命がけ」
~ハチマキ姿で目を怒らした努力なんていうのは大したことではない。
そうではなく、にこにこしながら命を懸ける。
にこにこしながら命を懸けるというのは
偉大な夢が後ろにあるということだ~
<引用:「平澤興一日一言」平澤興著 致知出版社
村上和雄氏のまえがきより>
人物を深め、こうなっていかねばと思います。
最後に、安岡正篤師の「佐藤一斎“重職心得箇条”を読む」(致知出版社)から、全十七箇条の最後の一条を。
「人君の初政は、年に春のある如きものなり
先人心を一新して、発揚歓欣の所を持たしむべし。」
(後略)
(人君の政り事の初めにあたっては、
年に春の季節があるようなものである。
まず人心を一新して意気をあげること、
皆が喜ぶようにすることである。)
このような心でこの一年を過ごしてまいりましょう。