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COLUMNSブログ「論語と算盤」

自動車業界-2

2022年8月18日

自動車業界の2回目です。

 

今回は、売上高利益率からみる収益性で「利益創出力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、総資本営業利益率売上高総利益率、   

  売上高営業利益率売上高当期純利益率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

総資本営業利益率

〔総資本営業利益率=営業利益÷総資本(負債+純資産)〕

 

 トップスズキです。

2019期は9.5%とすこぶる高いレベルでしたが、年々低下しています。

主因は営業利益の低下であり、3期間とも総資本の伸び率を下回っています。

また、直前期では4社中唯一の低下となっており、今期以降がやや気になります。

 

 2番手はトヨタです。

2021期はやや落ち込みましたが、それ以外は安定的に4%台での推移となっています。

特に直前期は、前回見たように営業利益の伸び率が相当に大きかったため、当指標も高まりました。

 

 続いてホンダです。

3%台での推移となっています。

総資本は3期連続で増大していますが、当社も直前期の営業利益の伸び率が高く、2019期と同レベルまで持ち直しました。

 

 最後は日産です。

2期連続で営業欠損でしたが、直前期でプラスになっています。

 

 

売上高総利益率

〔売上高総利益率(粗利益率)=売上総利益(粗利益)÷売上高〕

 

 トップスズキです。

ただし、3期連続で低下しています。

3期とも、売上原価の伸び率が売上高を超えています。

特に直前期では、売上高が112.3%とかなり上昇したにもかかわらず、売上原価は前年比117.3%となってしまいました。

現状はトップですが、予断を許さない推移です。

 

 2番手はトヨタです。

直前期の値は、この4期中で最高値です。

コロナ禍における市場の低迷や原材料の滞り、さらには各種資材の物価上昇にもかかわらず、極めて安定しています。

 

 続いてホンダです。

当社も安定しています。

ただし、良く見ると、僅かではあるものの低下傾向を示しています。

今後の上昇が期待されます。

 

 最後に日産です。

10%台の中盤での推移となっており、厳しい状況と言えます。

直前期の値は、4期中最高値の2019期に概ね追いついてきています。

当社についても、今後の奮起が望まれるところです。

 

 

売上高営業利益率

〔売上高営業利益率=営業利益÷売上高〕

 

 トップトヨタです。

過去3期は図ったように8%レベルを維持し、直前期では9.5%まで上昇しました。

市場の悪影響を全く業績に反映させず、逆に好影響要因はしっかり取り込む力強さが感じられます。

改めて、強力なマネジメント体制に感銘を受けます。

 

 2番手はホンダです。

2期連続で約1ポイント程度上昇させており、底力が感じられます。

売上高は比較的大きく変動しましたが、営業利益は着実に増大させています。

 

 続いてスズキです。

2019期はトップでしたが、この指標も3期連続で低下しています。

本業から利益を捻出する力が年々弱体化しているようです。

 

 最後は日産です。

直前期で大きく挽回しています。

この勢いが今期以降も続くことが期待されます。

 

 

売上高当期純利益率

〔売上高当期純利益率=親会社の所有者に帰属する当期利益÷売上高〕

 

 トップトヨタです。

直前期は営業利益率と同レベルの値まで上昇しています。

 

 2番手はホンダです。

3%台だった過去2期に比べ、直前2期のレベルは高まっています

収益性が強化されてきているように映ります。

 

 続いてスズキです。

当指標については、2020期を除いて4%台中盤での安定的な推移となっています。

 

 最後は日産です。

やはり直前期での挽回が注目されます。

 

 

 

今回、特に気になったのは、まずスズキ指標が高いものの低下傾向であることです。

 

また、目立たないものの、ホンダ値が徐々に上昇している点も興味深く感じます。

 

 

今回の「利益創出力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「稼ぐ力」を見ていきましょう。

 

 

 

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