今回から自動車業界を取り上げます。
取り上げる会社は次の4社です。
トヨタ自動車株式会社
本田技研工業株式会社
日産自動車株式会社
スズキ株式会社
(4社とも決算月は3月です。)
第1回の今回は「経営規模」を確認します。
取り上げる実績値は、売上高推移、営業利益推移、総資産推移、従業員数推移です。
【売上高推移】
トップはトヨタです。
直前期の売上高は、前期比115.3%の31兆3,795億円となりました。
2期連続で低下した後、直前期で挽回しています。
なお、低下した2期の低下度合いは、4社の中では軽微なレベルに留めています。
事業は次の3つのセグメントに分けられています。
中核である自動車事業の伸びが大きく、金融事業とその他の事業も増収となっています。
▶ 自動車事業:自動車の製造販売
直前期の売上高・・・前期比116.0%の28兆6,057億円
販売数量では、日本市場こそ前期比90.5%(1,924,185台)と低下していますが、米国市場は103.5%(2,393,912台)、そして欧州、アジア、その他の地域も増加しています。
▶ 金融事業:自動車等の販売を補完するための金融、車両リース事業
直前期の売上高・・・前期比107.5%の2兆3,240億円
▶ その他の事業:情報通信事業
直前期の売上高・・・前期比107.4%の1兆1,298億円
2番手はホンダです。
直前期の売上高は、前期比110.5%の14兆5,527億円となりました。
2期連続で低下した後、直前期は増加しました。
事業は次の4つのセグメントに分けられています。
全セグメントで前期を上回っています。
▶ 二輪事業
直前期の売上高・・・前期比122.3%の2兆1,852億円
連結売上台数では、アジア地域は2.0%の減少ですが、それ以外の日本、北米、欧州、その他の地域では増加しています。
▶ 四輪事業
直前期の売上高・・・前期比106.8%の9兆1,474億円
連結売上台数は、二輪事業と逆転したイメージです。アジア地域は13.6%増加ですが、それ以外の日本、北米、欧州、その他の地域では減少しています。
にもかかわらず売上高が増加したのは、為替換算による増加影響とのことです。
▶ 金融サービス事業
直前期の売上高・・・前期比113.1%の2兆8,206億円
▶ ライフクリエーション事業及びその他の事業
直前期の売上高・・・前期比124.1%の3,992億円
続いて日産です。
直前期の売上高は、前期比107.1%の8兆4,246億円となりました。
2期連続で比較的大幅に低下した後、直前期で増加しました。
ただし、グローバル販売台数(小売り)は前年度から4.3%減少しており、そのせいか直前期の伸び率は4社中では最低となっています。
事業は事業セグメントで2つに分け、また地域セグメントで5つに分けています。
以下は事業セグメントでの実績を記載しており、両事業とも増収となりました。
▶ 自動車事業
直前期の売上高・・・前期比107.0%の7兆4,757億円
▶ 販売金融事業
直前期の売上高・・・前期比101.1%の1兆317億円
(自動車事業はセグメント間の内部売上を含むため、2事業の合計が全社売上高と一致しません。)
最後はスズキです。
直前期の売上高は、前期比112.3%の3兆5,684億円となりました。
当社も2期連続で低下した後、直前期で増加させています。
事業は次の4つのセグメントに分けられています。
全セグメントで前期を上回っています。
▶ 四輪事業
直前期の売上高・・・前期比111.4%の3兆2,048億円
▶ 二輪事業
直前期の売上高・・・前期比122.7%の2,535億円
▶ マリン事業:船外機の製造販売
直前期の売上高・・・前期比117.5%の980億円
▶ その他事業:電動車いすの販売、不動産の販売
直前期の売上高・・・前期比103.4%の121億円
【営業利益推移】
トップはトヨタです。
売上高の変動に応じて2期連続で減少していましたが、直前期では136.3%と大きく挽回しています。
2兆9,957億円は、この4期間において最高値となっています。
なお、この営業利益における対前年増減要因と金額は、営業面の努力が+8,600億円、為替変動の影響が+6,100億円、原価改善の努力が△3,600億円、諸経費の増減・低減努力が△2,200億円、その他が△921億円とのことです。
セグメント別には以下のとおりです。
▶ 自動車事業の営業利益・・・前期比142.1%の2兆2,842億円
▶ 金融事業の営業利益・・・前期比132.6%の6,570億円
▶ その他の事業の営業利益・・・前期比49.6%の423億円
2番手はホンダです。
2020期には落としましたが、2021期と直前期の2期連続で増加しています。
特に直前期は132.0%と大きな伸びで8,712億円となり、4期間中の最高値となっています。
▶ 二輪事業の営業利益・・・前期比138.7%の3,114億円
▶ 四輪事業の営業利益・・・前期比161.7%の2,362億円
▶ 金融サービス事業の営業利益・・・前期比93.3%の3,330億円
▶ ライフクリエーション事業及びその他の事業の営業損失・・・前期より21億円の改善で94億円
このうち、航空機および航空機エンジンの営業損失は、前期より14億円の悪化で337億円とのことです。
続いて日産です。
2期連続の営業欠損で、2021期はかなり欠損額が拡大しました。
しかし、直前期では一転して挽回し黒字を計上しています。
▶ 自動車事業の営業損失・・・前期より2,820億円の改善で1,550億円
▶ 販売金融事業の営業利益・・・前期比139.9%の3,748億円
そしてスズキです。
3期連続で減少しています。
中核事業の四輪事業の回復が必要です。
▶ 四輪事業の営業利益・・・前期比88.8%の1,528億円
原材料の高騰が利益を圧迫したとのことです。
▶ 二輪事業の営業利益・・・前期比421.6%の109億円
▶ マリン事業の営業利益・・・前期比140.5%の240億円
▶ その他事業の営業利益・・・前期比139.3%の38億円
【総資産推移】
トップはトヨタです。
3期連続で増大しています。
2番手はホンダです。
トップの半分以下というレベルですが、着実に規模拡大を図っています。
続いて日産です。
4社中唯一、3期連続で縮小しています。
最後はスズキです。
2020.03期は縮小しましたが、その後2期連続で増大しています。
【従業員数推移】
最大の従業員数はやはりトヨタです。
直近2期連続で増加しています。
2番手も想定どおりホンダです。
3期連続で減少させています。
続いて日産です。
2期連続で減少していましたが、直前期では増員しています。
そしてスズキです。
4社中唯一、3期連続で増加させています。
今回の「経営規模」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
4つの実績値の全てが同じ順位になりました。
今回は以上です。
次回は、収益性の中の「利益創出力」を見ていきましょう。
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