人情は只是れ箇の好悪なり。身を立つるは要するに好悪を端しくするに在り。人を治むるは要するに好悪を同じうするに在り。故に好悪異なれば夫妻父子兄弟皆寇讐。好悪同じなれば四海九夷八蠻皆骨肉。〔拾遺〕
(人情というものは結局何を好み何を憎むかという好悪の問題である。身を立てるときは要するに好悪を正しくすることにある。人を治めることは要するに好悪を同じくすることにある(みんなが揃ってそれはいかん、それはいいというその心事を同じくする)。故に好悪が異なると夫妻・父子・兄弟もみな仇敵同士となる。逆に好悪が、同じであれば世界中の様々な夷狄蛮族もみな親子兄弟となる)
<出典:『呻吟語を読む』安岡正篤著 致知出版社>
人に対する好き嫌い
誰にでもあるのでは
では、これを取り払うことが必要なのか
基本的に、合わない人と付き合う必要などない
そう考えるのは、自分の気持ちに正直で、時間短縮にもなるし、気持ちも楽だと思うからなのでしょう。
この場合、それは “ 早計 ” 、 “ 浅慮 ” と呼ぶべきかもしれません。
かくいう私も、幼い頃の交遊から四十代くらいまで、このように考えていました。
しかし、あるとき気づきがありました。
それは、まさに自分が、他者から同じような思いで対応されているということです。
これは実に良くないことです。
自分で事業をやっている者にとって、顧客の候補の中に敵がいるというのは全くもって不利、致命的です。
そこで試しに、常に表情を柔和にして、笑顔で接していこうと思いました。
その方が、端から避けられることがなくなると思ったわけでして、同時に挨拶やお辞儀もきちんとしようと心がけました。
この試みは、確かに効果がありました。
それは、相手が私に警戒心を持つことが少なくなったように感じられたこと。
そして、相手が私に話しやすくなったようで、私自身が、相手の話に耳を傾けられるようになったこと。
さらには、自分が嫌っていたタイプの人って、話を聞いてみたら、そんなに毛嫌いするものではないなとわかり、自分の心のバリアが取れてきたことです。
少しずつではありますが、仕事もスムースに進むようになってき始め、やりやすくもなりました。
今日の言葉は、政の要であり、人の上に立つ人にとって極めて重要です。
あえて敵を作ることなく、逆に仲間を増やすことができるからにほかなりません。
そして、政治の面だけではありません。
会社組織、部や課や係、サークル、家族、初対面の人、日常の様々な場面で好悪感情を捨てることが、自分の人生を良くしていくことに繋がるのです。
故に好みて其の悪しきを知り、悪みて其の美を知る者は、天下に鮮なし。
故に諺に之れ有り、曰わく、人は其の子の悪しきを知る莫く、其の苗の碩いなるを知る莫しと。
此を身修まらざれば、以て其の家を齊う可からずと謂う。
(好んでその者の悪い点を知り、逆に憎んでその者の美点を知る者は世の中に甚だ少ないものだ。
故に昔からの諺に親はわが子の悪いことを知らない。農夫は自分の作った苗が他に比べて大きく育っているのを知らないとある。
これを身が修まらなければ、其の家を齊えることはできないというのである。)
〔大学〕
生きていく上で
敵は作らない方がまし
たくさんの仲間と
素晴らしい日々
素晴らしい未来を創っていく
そんな人生にしましょう