是の故に君子に大道有り。必ず忠信以て之を得、驕泰以て之を失う。財を生ずるに大道有り。之を生ずる者衆く之を食する者寡なく、之を爲る者疾く之を用うる者舒なれば、則ち財恒に足る。仁者は財を以て身を發し、不仁者は身を以て財を發す。
(そこで君子に歩むべき大道がある。必ず忠信(まこと)の心を以て実践することによって高い地位は得られるが、おごりたかぶり、そしてなまけることによって、折角得た地位を失うことになる。財を生ずるにも大道がある。生産する者が多く、これを消費する者が少なく、生産をはやくして消費をおもむろにすれば財は常に足るのである。
仁者は財を世に施してその身をおこすが、不仁者は身を犠牲にして財をつくる。)
<出典:『『大学』を素読する』伊與田覺著 致知出版社>
前回の内容では、保身の動機などから、有能な人物に適切な役割を持たせないことや、不善な者との関係を断ち切れないこと、これはリーダーの怠慢とされています。
また、道義に適った言動を嫌い、道義に外れた行為を好むなどは、リーダーとしては論外ということでした。
これらのことから、君子には心掛けるべき、守るべき在り方があるとのこと。
それは、忠信を持って事に当たってこそ、望ましい状況を創り上げることができ、驕り高ぶる傲慢な意識が心を占めれば、望まれる状況は得られないということです。
本当に優れた、活発な、風通しが良い組織というものは、人々に思いやりの心があり、一人ひとりが自らの良心に従って真っ直ぐに生きている人たちで構成されています。
他方、驕り高ぶる姿勢というものは、例えば街中を歩いていても散見されます。
金を多く持っていることを見せ付けようとするような輩が中心ですが、他にも腕力の強さや、数人でつるんでいることに安心感を得て傍若無人な振る舞いを見せる輩もいます。
こういう驕り高ぶる者たち
やがては姿を消していく
それが道理というもの
次に、財産、金銭を得るためには当然の道筋があるとのこと。
人一倍働いたり、工夫して効率的に働いたりすることで多くの財を生み出す。
そして、それらの財を使うことを抑える、つまり豪華な食事をとったり装飾品を買ったりせず、慎ましくいることです。
また、速やかに財を生み出しつつ、大切に徐々に支出すれば、財が枯渇することはないということです。
考えてみれば当然のこと
しかし
傲慢な者は
できる限り多くの財を
すぐに欲を満たそうと使い
そして驕泰を見せる
次の段も重要です
財物とは
人が生きていくために
第二義的なものと認識すべき
ということ
人徳を備えた〝 仁者 〟は
財を利用して
自身の徳を高め
より盛んにしていきます
他方“不仁者”は
自分の身を犠牲にして
財物を貯えようとする
これこそが本末転倒
例えば、大事な面談があるときに大雨だったとします。
〝 仁者 〟は、面談に相応しい身なりを崩さないように、速やかにタクシーを用いて面談会場に向かうでしょう。
身なりを整然とするのは相手に対する気遣いです。
そしてその面談についての準備を行う余裕を作る心掛けがあってこそ、物事はうまくいき、結果自らをさらに高められます。
これに対して“不仁者”は、タクシー代が惜しいからと、濡れないように工夫しながら一所懸命歩いて面談会場に向かいます。
到着したとき
髪は乱れ湿気で服装はシワだらけ
これでは
相手の信頼は得られなくなります
徳は本なり
財は末なり
忠信で物事に対処する
本末を認識し
正しく振舞い
正しく生きる
自己を高め続けることは
授かった生命を活かして
世へ貢献するための修養