兄弟常不合 慈悲為兄弟 財物永不存 才智為財物 〔實語教〕
兄弟常に合わず。慈悲を兄弟とす。財物永く存せず。才智を財物とす。
(意訳:兄弟だからといって、常に仲が良いわけではない。相手への思いやりがあるのなら、血を分けた者同士以上の間柄にもなる。
金銭や財宝などは永遠ではない。知恵を高めて活用することこそ、生きるための財産である。)
<参考書籍:『實語教童子教 改版』馬喰町 錦耕堂山口屋藤兵衛板 解説>
同じ父母を持つ兄弟が、どんなときにも仲が良いかというと、明らかにそれはありません。
私には兄がいますので、よく分かります。
いくら兄弟といっても、相手を思いやる心がないと、両者の仲はうまくいかなくなります。
まさに実感します。
さらに広げれば、友人、知人、同僚、隣人、伴侶に至るまで、相手への思いやりがあってこそ、人間関係がうまくゆくのです。
地域や組織、家族から国家に至るまで、人々がお互いを思いやって、協力し合うことで、物事はうまくいくのでしょう。
一家仁なれば 一國仁に興り
一家讓なれば 一國讓に興り
一人貪戻なれば 一國亂を作す
其の機此の如し
(一つの家族の中が仁で溢れれば、国中がその気風で満ちるようになる。一つの家族の中で譲り合っているのなら、国中をその美風が占めるようになる。
一方、君主が我欲だけで我儘ならば、国中に乱が生じる。治乱興亡が生じるのは甚だ微妙である。)
〔大学〕
平和の実現と維持のためには
相手に思いやりの気持ちで接し
関係を良くしていくことが必要です
財産は放っておけば無くなります。
私にはそんな財産が無いからでしょうか、実感できます。
そのため、財産に頼る生き方は長続きしないのです。
それに対して、知恵は限りなく広げることや充実させることができ、発明や防災はもとより、人間関係の良化にも大いに役立ちます。
財産ではなく、知恵を身に付けて高めていってこそ、自らの人生を輝かせることができるわけです。
ただし、知識というレベルでは物足りません。
現実社会に応用展開させ得る〝 知恵 〟の領域まで昇華させられなければ、知識というものの意義は無いと言っても過言ではないでしょう。
人類の進化とは、コンピュータを生み出したことで、知識の習得という訓練から解放される、楽になるということではないはず。
多くの知識を現実に即した智恵として活用してこそ、人類の永続と発展につながる進化であるはず。
人類の
発展と進化には
思いやりと
知恵の活用
それが必要なのです