止まるを知りて后定まる有り。定まりて后能く静かなり。静かにして后能く安し。安くして后能く慮る。慮りて后能く得。
(正しい道理を弁えると心は一つに定まって動揺しなくなる。従って心安らいで思いをめぐらし、物事を正しく会得して、自ら満足して行動するようになる。)
<出典:『『大学』を素読する』伊與田覺著 致知出版社>
定まる
自分にとって必ずしも好都合でなくとも行うべき〝善の行為〟、つまり「道理」に基づいた思考、言動を基盤とすること、そういう状態に定まること
もしも身近に、その場その場で意見を変える人がいたらどうでしょう。
例えば会社組織なら、日頃は会社の成長や発展と言いながら、個別の事柄については自己都合を優先させる姿
恐らく、何かもっともらしい理屈をつけて自分や周囲を納得させようとするでしょう。
このような行為を行う人物は、決して〝大人〟ではありません。
静か
どっしりと落ち着いて、物事に動じない姿勢
事が生じたときに右往左往するのは “ 小人 ” の姿です。
〝大人〟として落ち着くべき場所を見出せば、大げさな言動など必要なく、物静かになっていくものです。
安し
心は安らかか
喜怒哀楽が出る人は、憎めない人かもしれませんが、やはり〝大人〟としてはいささかいただけません。
重心深く、穏やかな言と動があってこそ、立派な、見習うべき人物でしょう。
慮る
物事を正しく判断できるか否か
道理に背いていては正しい判断はできません。
右往左往するようでは正しい判断はできません。
喜怒哀楽に振り回されていては正しい判断はできません。
これらの過程を経て、初めて正しい判断ができるということです。
得
正しい判断に基づき
正しい行動を行い
正しい結果
正しい状況にしていくこと
〝大人〟としての在り方
<参考:『『大学』を味読する 己を修め人を治める道』伊與田覺著 致知出版社>