子曰わく、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は壽し。〔雍也第六〕
(先師が言われた。
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は活動的であり、仁者は静寂である。知者は変化を楽しみ、仁者は永遠の中に安住する」)
<出典:『仮名論語』伊與田覺著 致知出版社>
孔子は
知者よりも仁者を好んでいます
知者とは
変化を求め
知識や知恵を習得し
それを発揮しながら人生を楽しむ人
前回、樊遲への返答を取り上げましたが、知者は神を敬うものの日頃は意識的に遠ざけるとのことでした。
それは、神に頼ることなく、自らの力で生きていこうとする清廉な姿勢です。
知者は立派な人物であり、人々を牽引し、邁進していく力を持っている人です。
仁者は
静寂を求め
人を思いやり
自らを深めていく人
慎独の人です。
知者が人々の中で
お互いに影響し合いながら
活動するのに対して
仁者は一人で
静かに自らを修めます
多くの人は、成長していくにつれて、人生の目的、生きる理由、自分の成すべきことについて思いを馳せるようになっていきます。
若い頃は知者のように振る舞い、うまくいこと、そうならないことなど、多くの経験を重ねてきました。
そして、どうやら人生は自分の勝手な思い通りにはならないのだと悟ります。
そんな時代を過ごした後
やがて自分自身の根源を
考える必要性を感じます
そのとき
師となるべきが仁者です
人が最後に求めるのは、人生の奥義を纏った仁者です。
後天的に
外部から得た知識や知恵
それよりも
天から授かった自らの使命
その使命に基づいて
生きていくべきではないか
このようなことを
考える場面は
必ず誰にも訪れます
それは人によって
遅かれ早かれ
ただ一人
静寂に包まれた山中
天、神、自然
その中に生かされている自分
その自分の使命を見出すこと
〝 知 〟の時代を経て
〝 仁 〟の時代の人生
ともに充分味わいたいものです