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COLUMNSブログ「論語と算盤」

一燈照隅 萬燈照国

2025年2月25日

理非を糺す者は、人罰に落ちるなり〔直茂公御壁書〕

(人の落ち度や欠陥をいい立てて、その責任を追及し、それによって自分の株を上げようとする者はいつの時代にもいたのであろう。

 だが、その結果はかえって人々の反感を買い、同僚や部下からも孤立して失脚せざるをえない。

 仲間うちの間では、気づいたことがあればひそかに忠告し、お互の結束をより固めるのが本道であろう。)

<出典:『葉隠』原著 山本常朝/田代陣基 神子侃編著 徳間書店>

 

 

 

 

同じ組織の中で、他者の落ち度を声高に指摘すること

 

 

 

 

 この背景には二つの原因があると思います。

 

一つは自分の株を上げようとすることであり、自らを際立たせよう、存在感を見せ付けようとするもの。

 

 

もう一つは、その悪事を陽に晒して、組織の浄化を図ろうとする試み。

 

もっとも後者が原因であれば、別の手段が望ましいでしょう。

本文にあるように、忠告するに留め、組織の結束を高めるという手段です。

 

 

 

 

 

組織の結束を高めることは重要です

 

 

 

しかしながら

常に以下の問いへの答えを

持っておかねばなりません

 

 

その動機がメンバーに存在するかどうか

その動機はそもそも何に左右されるのか

 

 

 

 これは、正しい方向性を持った組織かどうかにかかっているのではないでしょうか

 

 

正しい方向性を持った組織なら

 メンバーは疑うことなく

  組織に尽くそうと努力する

 

その結果

 組織を強くしようと

  結束していくでしょう

 

 

正しい方向性を持っていない組織なら

メンバーは日々疑いを持ち

組織の明日に期待することなく

自分の立場を守ろうとする

 

 

 

 正しくない組織に対しては、距離をおくこと、あるいはその組織から出てしまうことも必要かもしれません。

 

人は安きに流れるものです。

 

自分の思考に悪影響を受けないようにすべきです。

 

 

 

 

霧の中を行けば、覚えざるに衣しめる

よき人に近づけば、覚えざるによき人となるなり

 

<道元>

 

 

 

 

 一方で、株式会社なら株主、地域の行政なら住民という後ろ盾がいます。

 

あまりに組織が腐敗してしまった場合、この後ろ盾の人々に問題を訴求することも必要になるかもしれません。

 

大きな組織ほど社会に与える影響力が強いので、手を尽して軌道修正を図る必要があります。

 

 

 

 

 

 

 昨今、snsではやし立てる風潮が問題視されています。

 

世界はいま、幼稚で浅薄せんぱくな思考が蔓延はびこってきているように写ります。

 

 

期待したい政治家やメディアは

長いものや大きなものに従うのみ

責任回避の振る舞いしかできません

 

 

 

 

私たち一人ひとりが

自分の周囲の諸環境を

より良く正しい方向へと

導いていくしかありません

 

 

 

 

 

古人いわく、径寸けいすん十枚、これ国宝にあら

一隅いちぐうてらす、これすなわち国宝なり、と。

 

でんぎょうだい さいちょう

 

 

(むかし、魏王が言った。「私の国には直径一寸のぎょくが十枚あって、車の前後を照らす。これが国の宝だ」

 すると、斉王が答えた。「私の国にはそんな玉はない。だが、それぞれの一隅をしっかり守っている人材がいる。それぞれが自分の守る一隅を照らせば、車の前後どころか、千里を照らす。これこそ国の宝だ」と。)

(最澄の師 唐の湛然たんねんかんぎょうでんけつ

 

 

 

 

一燈いっとうしょうぐう

萬燈まんとうしょうこく