「晦に嚮えば宴息す」とは、万物皆然り。故に寝に就く時は、宜しく其の懐を空虚にし、以て夜気を養うべし。然らずんば、枕上思惟し、夢寐安からず。養生に於て碍と為す。〔晩二七八〕
(「夕暮れになって休息する」というのは、万物すべてそのとおりである。ゆえに、寝床につくときは、心を空っぽにして、夜の清明な気を養うのがよい。そうしないと、寝てからいろいろ考えて、安らかに眠れない。これでは養生の妨げになる。)
<出典:『言志四録 佐藤一斎』渡邉五郎三郎監修 致知出版社>
夜の休息は大切です
目を閉じることで視覚情報を遮断し
静けさで聴覚情報を遮断します
病院に入院したときと同じように、外界への対処を止め、身体の回復機能へ意識を向かわせることになります。
若い頃、精神的な負担は一般的にそれほど大きなものではなく、体力の回復のために自然に寝られるものです。
中年期を超えるあたりになると、生活していく上での体力は慣れもあることから大きな問題にはならず、今度は精神的な負担が増します。
このような夜の休息が自然な営みでしょう
若い頃、精神的に悩んで寝られないというのは、例外的な問題を抱えているか、そもそもの考え方が不自然であるからでしょう。
また、中年期以降、寝ても身体が回復しないというのは、何かの病がそうさせている可能性がうかがえます。
若年期を経たのち、まず気がかりになるのは仕事のことではないでしょうか。
30歳あたりからの働き盛りの年代になってくると、多面的、多角的、また様々な時間軸をもつ問題が次々と生じます。
“ 記憶より記録 ”
前職での師、直属の上司から教えてもらった言葉です。
「この件はいつまでに何をやる、次に~」というように、日付とともに手帳に記録しておけば、あとは酒を呑んで忘れても問題ないというわけです。
当然ぐっすり寝られます。
グズグズと、あぁでもないこうでもないと悩んだり、記憶で対処しようとしたりするより、よほど健康的です。
ただし、仕事一つひとつの全貌を掴んでおかねばなりません。
そのためには、職場の上司や先人の知見に頼ることもあるでしょう。
全ての問題を切り分けて記録する
その時が来たら記録を見返して
頭の引出しから必要な要素を
取り出して対応するのです
これは頭の中の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動です。
自然で平常的な問題への対処は、以上の取り組みですっきりとして、夜はぐっすり休息できるのではないでしょうか。
他方、自然とはいえない領域の問題も多々生じます。
家族や恋人の問題
暴力や失恋
ケガや事故
病気
死別
失業
・・・
これらへの対処は一概には語れません。
自らの価値判断基準をもとに対処するしかありません。
基本的には
得をしようというような邪な考えはやめ
正しいことを行うことを基準とすること
自分一人で対処しようとせず
相手や関係者にも協力を仰ぐこと
そして
真正面から向き合うこと
このような心構えが大切ではないかと思います
肉体的にも精神的にも
安らぐことができて
しっかりと休息できる
そんな夜を迎えられるよう
工夫しましょう
明日のために