子、子夏に謂いて曰わく、女、君子の儒と爲れ、小人の儒と爲る無かれ。〔雍也第六〕
(先師が、子夏に向かって言われた。
「お前は君子の儒となれ、小人の儒となるではないぞ」)
※君子の儒、真実に道を求めて学ぶ人。
小人の儒、単に知識を極めて立身出世を求めるような人。
<出典:『仮名論語』伊與田覺著 致知出版社>
君子の儒
自らの修養に注力し
大自然の中の生命体として
いかに生きるべきかを探求する姿
小人の儒
人間が構築してきた社会経済の中で
手っ取り早く上位に位置しようと
知識を詰め込むことに躍起な姿
君子は潔い生
小人はさもしい生
君子の儒は
長期的な視野
何千年、何万年、何億年
その中における百年足らずの
自分の生き様を求めて学ぶこと
一方
小人の儒は
自分の人生という
短期的な視野
祖先の行いや知恵
子孫が生きる次代より
自分が快楽なら良しとする
大自然の動きは、君子の儒と同様に、人の一生から見ると極めて長期的です。
その中で、セコセコと、たかだか百年程度の期間に悦楽を得ようとする小人の儒。
しかしながら今の世界では、小人の儒の圧力が圧倒的に大きいようです。
大自然の動きと小人の行動、このズレは、やがて大きな亀裂を生むのではないでしょうか。
先日、“ 千年海流 ” が止まってしまうという新聞記事を見ました。
温暖化で南北極地の氷が解けて淡水化し、その影響で早ければ2020年代後半にも地球の海流が止まる可能性があるそうです。
そうなると、暖流は南北高緯度地域に流れ込まなくなり、厳しい寒さに襲われます。
他方、寒流は南北低緯度地域に流れ込まなくなり、炎天下の砂漠のような日常になります。
高緯度地域の生活は、まるで冷蔵庫
低緯度地域の生活は、まるで炭焼窯
また、豪雨が続く地域と、干ばつに苦しめられる地域に分かれることが予想されています。
四季に応じた気候の変化は無くなり、地球環境は場所ごとに固定化されてしまいます。
映画にもなった小説『The Day After Tomorrow』さながら、温暖化で変化する地球の一過程の姿なのでしょうか。
世界人口は八十億人を超えたそうです
これからは
種として淘汰される
時代を迎えるのでしょうか
長期的な大自然の時間軸と、短期的な小人の時間軸とのズレは、積もり積もって、我々が生きる “ 美しい地球 ” の姿を一変させてしまいかねません。
人類の祖先の一人、孔子
今日取り上げたその孔子の言葉は、弟子の子夏だけに言ったのではなく、現生の人類全体への戒めだったのでしょう。
私たちは
後世のためにも
そして祖先のためにも
“ 君子の儒 ” の道を
歩まねばなりません
間に合うか