親を養う所以を知れば、則ち自ら養う所以を知り、自ら養う所以を知れば、則ち人を養う所以を知る。〔晩二七三〕
(親の面倒をみなくてはならないわけ(情)がわかれば、自らの身を大切にしなくてはならないわけがわかる。自分の身を大切にするわけがわかれば、人を大切にしなくてはならいわけがわかる。)
<出典:『言志四録 佐藤一斎』渡邉五郎三郎監修 致知出版社>
親の面倒をみる
なぜ
理由がわからないと動けないというのなら、自然の摂理から逸脱しているのでしょう。
一方で現代では、親の面倒をみたくともできないという状況が増えてきています。
親の側も、子に対して「形式上の幸福」を願うあまり、自分のことなど構わなくてよいという人が多いようです。
現代の親子関係を踏まえて今日の言葉をよく考えると、人間関係の断絶がさらに深まっていくであろうことを示唆しています。
そしてそれは、当時から今日に至るまで、ほぼ現実化してきているようです。
親子関係は人間関係の基盤です
生きることさえままならない赤子を
親は二十四時間
目を離さずに育てます
その苦労
いや気持ちの持ちようによっては
楽しい時間と感じることもできます
いずれにせよ
子が成人するまで
親の気苦労は続きます
やがて
親が年をとったとき
放っておけますか
人の心があれば、それは無理です。
できれば、お互いに笑顔で過ごしたいはず。
生命をつないで次代へ受け渡す
この自然の仕組み、天道は、親子関係から生じるものなのでしょう。
そして次は、他の人を大切にすること
全ての人が同じように親子関係を築いていけば、世の中の人間関係はうまくゆくでしょう。
つまりは “ 平天下 ”
東洋古典の代表的書物『大学』には、格物、致知、誠意、正心、修身、斉家、治国、平天下という、段階をおった八条目が示されています。
八条目をよくみると、“ 平天下 ” に至る基盤は “ 自己 ” と “ 家 ” ということがわかります。
現代は核家族化しており、戦前のような大家族の文化は消滅しつつあります。
今から戻そうとしても簡単ではありません。
大家族の生活を実現するために大切なことは、家族間の人間関係です。
つまり、一人ひとりが自らを修練してこそ成り立つものです。
その修練の場が家族であり
そこで培った人間性で他者と協力しあって
地域そして国を良くしていく
これが
天道に沿った
理想の人間社会なのでしょう