子貢問うて曰わく、孔文子は何を以て之を文と謂うや。子曰わく、敏にして學を好み、下問を恥じず、是を以て之を文と謂うなり。
(子貢が尋ねた。
「孔文子(衛の大夫)は何故に諡を文というのでしょうか」
先師が答えられた。
「天性が明敏であって学問を好み、目下の者にもへり下って尋ねることを恥じなかった。それで文と諡されたのだ」)
<出典:「仮名論語」伊與田覺著 致知出版社>
※おくり名をつける際、学問ある者には「文」という字をつける。
今日の言葉には
本物の姿勢が示されていると感じます
本物は、自らの道に沿って全力で進んでいきます。
外の喧騒に惑わされることなく、自己に焦点を当て、自らの使命を果たすために邁進します。
著名であるかどうかに限らず
世の中の一隅を照らし
自己修養を続ける人たち
それに対し
外の情報に翻弄され
自らを省みない人たち
これが本物とそうでない者の違い
つまりプロとアマの決定的な違いです。
藤尾秀昭氏の著書『人生の法則』(致知出版社)に“プロの条件”という一節があります。
第一は「自分で高い目標を立てられる人」とのこと。
到達すべきレベルは遠い先にあります。
そこへ至るには、日々歩む距離が自ずと長くなります。
一日、一週間、ひと月単位の目標にも、プロとアマには格段のレベル差が生じます。
第二の条件は「約束を守る」こと。
これは、自らに課した約束のことです。
プロの仕事として、相手が期待する便益や効用を確実に供与することです。
これができなければ、プロの仕事を行うという約束を守れなかったことになります。
第三は「準備する」こと。
確実に成果を生むには、その成果の何倍、何十倍もの準備が必要です。
それがプロの仕事です。
アマは、報酬のレベルに応じた準備をしようとします。
これでは一生プロにはなれません。
第四は「進んで代償を支払う気持ちを持っている」こと。
目標・目的を実現するため、使命を果たすためには、労力、時間、汗、血、涙、金銭、あらゆる代償を支払うということです。
重要なのは自らが定めた人生の目標に到達することであり、そのために必要な代償は惜しまないということです。
目標が曖昧でそのレベルも質も低いアマは、代償をけちり、出し渋ります。
今日の言葉の「目下の者にもへり下って尋ねる」という行為。
これを恥ずかしいと感じて尋ねられないのがアマ、恥などという些末な代償など気にも留めずに投じるのがプロというものです。
第五は「神は努力する者に必ず報いると心から信じている」こと。
静謐の中で自らと対峙し、己の心の中にある神を信じ抜くのです。
プロは
自分を磨くための高い目標を認識し
プロとしての仕事を行うという約束を守り
そのために十分な準備を施し
目標達成に必要な代償を支払う
孔子は
孔文子を本物と見たのでしょう