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COLUMNSブログ「論語と算盤」

安らぎ

2023年4月11日

名と身といずれか親しき。身とたからと孰れか多き。得と亡と孰れかましき。是の故に甚だ愛すれば、必ず大いについゆ。多く藏すれば必ず厚く亡ぶ。足るを知ればはずかしめられず。とどまるを知ればあやうからず。以て長久なる可し。〔名與身章第四十四〕

(名誉と自分の身体、これはどちらが自分にとって切実なものであるか。

自分の体と宝、どちらが価値が多いか。

また、得をするということと、何かを無くすということ、これはどちらが苦の種になるか。

だから名誉ということをひどく愛すれば、必ずひどく自分の精神力を消耗させることであろう。

宝物をたくさんたくわえておれば、なくすときには必ず、ひどい失望があるであろう。

だから(ここまでが伏線で、下の三句が重要だと注釈者はいう)足ることを知れば、恥をかくことがない。一定のところで踏みとどまることを知れば、危険に陥らない。かくてこそ、いつまでも長く生きることができるであろう。)

<出典:「老子講義録 本田濟講述」読老會編 致知出版社>

 

 

 

 

心の安らぎこそ幸福

 

 

 

悲しみはもとより、喜びさえ安らぎではありません。

 

 

 

しかし人は、喜びたいし、楽しみたいと願います。

 

またそれに欲が加わると、名誉や財宝を欲しがるようになります。

 

それらを手に入れても、後に失う事態に直面します。

 

 

 

落胆し、絶望し、悲しむことに・・・

 

 

 

 

老子の示す“道”は、喜びや悲しみは起伏でなく、すべてを平坦なものとして飲み込んでいるものなのでしょう。

 

 

 

“天”、“道”から与えられたこの命を充分に使い切るには、

 

 ❖ 大きな喜びを求め、大きな悲しみでそれを返すか

 ❖ 小さな喜びを見出し、小さな悲しみをも味わうか

 

どちらが良いのでしょう。

 

 

 

今日の言葉の後半三句は、千年も万年も役立つ、尽きることのない教えとのこと

 

つまり、足るを知ることで見っともない姿をさらさないこと、歩みを止めて危険を避けること、これが長く生きる秘訣であると

 

 

 

動植物の営み、人々の営み、大自然の営み

その中に穏やかな心の安らぎを見出し

それぞれが助け合い

無用な体力の消耗を避けて

人生を全うする

 

多くの人がこう生きれば

地上から争いごとは無くなる

 

物の消費と便利さを追求する

“文明”は発展せずとも

豊かな心から生まれる

“文化”は充実する