Loading

COLUMNSブログ「論語と算盤」

歴史に韻を踏ませない

2023年3月3日

漢学を成せる者は、弥漢籍かんせきついて道をまなぶべし。道は天地自然の物、東西の別なし。いやしくも当時万国対ばんこくたいの形勢を知らんと欲せば、春秋しゅんじゅう左氏さしでんを熟読し、たすくにそんもってすべし。当時の形勢とぼ大差なかるべし。〔追加二〕

(漢学(古代中国の学問、特に儒学)を学んだ者は、漢籍(中国の古い書物)をもって天の道、すなわち人として正しく生きる道を学んだのであり、決して無駄ではない。天の道は万物自然の道理であって、古今東西の区別は関係ない。

 今日の国際情勢について知りたいと思うのなら「春秋左氏伝(中国・おそらく戦国時代の歴史注釈書)から熟読し、「孫氏」(中国・呉の兵法書)を参考にすればよい。

 何千年も前のことであろうと、東洋と西洋の違いがあろうと、人間のやっていることは所詮、それほど変わりはない。他国と交渉し、渡り合うという国際交渉の本質を見抜く力と術を学ぶべきであろう。

<出典:「西郷南洲遺訓」桑畑正樹訳 致知出版社>

 

 

 

 

現代こそ東洋哲学が求められる時代です。

 

 

 

 日本はあまりにも西洋学問に偏りすぎました。

 

自分の存在意義である「心」との対峙を避け、対処方法や正解を求めるという短絡的思考にどっぷりと浸かってきたのです。

 

もちろん、日本人の根っこにある美徳や道徳はまだ剥がれ落ち切ってはいません。

 

そのおかげで日本が良くなってきている側面もあります。

 

ただし、その事柄を挙げると、そこに西洋的学問が重要な役割を果てしているわけではないことがわかります。

 

 

 

 一方、政治や経済の観点からは、日本は明らかに凋落してきています。

 

西洋諸国では、自らの古典である哲学やキリスト教などの宗教をしっかりと心の中に植え付けています。

 

歴史的背景からの自信、名誉、そして憤りさえも合わせ持っています。

 

 

日本は、そのような“心の基盤”を確立することなく、西洋学問を学んで追いつこうとしていますが、これは足のつかないプールであっぷあっぷしている格好そのものです。

 

 

 

 敗戦により米国の侵略を受け、様々な分野で言葉にできない辛酸を舐める場面があったでしょう。

 

しかし、徐々に迎合してしまったのは、外ならぬ私たち自身なのです。

 

その過程において、日本人の根幹に宿っていた東洋哲学が、一枚一枚剝がれ落ち続けました。

 

それでも、いままでは致命的な痛みは感じませんでした。

 

 

 

しかし、潮目は変わってきています。

 

米国の政治状態や国際的な存在感の低下からすると、手の平を返す可能性が高まっています。

 

先例があります。

1970年代、米国は日本に通達なく、中国に歩み寄り、米中国交正常化へ大きく舵を切りました。

そして、交渉の結果、台湾から米国の駐留軍を撤退させたのです。

 

凋落し続ける日本は、米国にとって価値の低い「資産」であると、認識を変える可能性があります。

 

 

 

~米国は世界の民主主義を守るために戦うはず。

日本に原爆を落とした米国は 

       最後まで日本を守らねばならない。~

 

 

これが原則や正義だと見誤ってはなりません。

 

この主導権を持っているのは米国なのです。

 

事態が大きく変われば、希望的観測でしかなかったという認識になるでしょう。

 

 

 

 

「歴史は繰り返さないが、いんを踏む」

 

米国作家:マーク・トウェイン

 

 

 

 

中国は時期を待っているかのようです。

 

黙って様子をうかがっています。

 

 

プールに足がつかなくなってきている米国が

いよいよ溺れかけるときを

 

 

 

「背中に荷物を背負っていると大変でしょう。

その荷物、そう日本という負担を

ひとまずお預かりしましょうか」

 

 

中国が米国に秋波を送ってくる日は遠くないでしょう。

 

 

 

戦後80年ほど経過した日本の教育制度、政治のあり方、近い将来どのような評価を受けることになるでしょうか。

 

 

 

本来の姿を取り戻さねばなりません。

 

それは、一人一人が自分自身にしっかりと対峙し、

同志とともにこの国のあるべき姿を創り上げ、

力強く、美しく、優しい国にしていくことです。

 

 

 

この日本が

 

損得勘定に左右されたり

 

大国同士の争いに翻弄されることなく

 

国土に根差した哲学に基づく国際感覚を育み

 

永遠に独立自尊の道を歩むことこそが

 

世界全体の平和と人類の自由な人生の謳歌を実現し得る

 

「進むべき最も尊い道」

 

であると信じます。