盛衰を以て、人の善悪は、沙汰されぬ事なり。盛衰は天然の事なり。善悪は人の道なり。されど、教訓の為には、盛衰を以て云ふなり。
(人の運命の盛衰によって、その人の善悪を論じることはできない。人の盛衰は自然の運命によるものであり、善悪は人間の判断によるものだからである。
しかしながら、教訓のためには、人の盛衰を善悪の結果のようにいうものである。)
<出典:「葉隠」原著 山本常朝/田代陣基 神子侃編著 徳間書店>
ことがうまくゆくとき
良いこと(善)を行っている感じがします。
逆にことがうまくゆかないとき
良くないこと(悪)を行っている気がします。
だから、うまくゆかせることを重視します。
ついつい、こういう判断をしてしまいます。
しかし、うまくゆかせることを基盤におくと、
善も悪もない交ぜになってしまいかねません。
うまくゆかせることには、それほどの価値があるのでしょうか。
善や信念に基づいた生き方
うまくゆかせるために工夫する生き方
死ぬ間際、どちらの生き方が満足できますか。
その生き方は、後世に繋がりますか
その生き方は、後世との架け橋、絆になりますか
その生き方は、自らの生として誇れますか
人が記憶されるのは
その人が手にしたものの多さではなく
その人が世に与えたものの多さ
易経の教えのように潜龍から亢龍まで
自らの歩みを慎重に進められたとしても
天変地異、争いごと、生物としての物理的な寿命など
盛衰は免れません。
盛衰への期待と恐れは、後悔や杞憂と同じく、無意味です。
〔十一月十一日〕
<出典:「坂村真民一日一言」坂村真民著 致知出版社>
今日という一日、今の瞬間こそが、人生を貫く一歩です。