子曰わく、君子は義に喩り、小人は利に喩る。
(先師が言われた。「君子は、義に敏感であるが、小人は利に敏感である」)
<出典:「仮名論語」伊與田覺著 致知出版社>
義を重要視する心や想いが世の中に広がれば
それはきっと世の中を平穏にし
良い影響を与えるでしょう
経済学でいうところの「価値財」としての効果です。
(「義」については、拙ブログ「国家の混乱と忠臣」ご参照)
一方、「利」を追う人や考えが広がったら
世の中は良くならず
悪くなるでしょう。
世を良くするための財やサービスを供給するのではなく
他者の上前をはねたり
他人を出し抜いたりして
自分だけが得をしようという意識だからです。
争いごとが絶えなくなるでしょう。
他国に侵略することで利を得ようとする国家となってしまってはお終いです。
いまの日本はいかがなものでしょうか。
私の年代以上の人は、日本の輝かしい時代の記憶があります。
他方、平成生まれ以降の人たちにっては、
単に歴史の一コマでしかなくなっています。
それもそのはずです。
国内総生産(GDP)は世界3位とはいえ伸びていません。
1人当りGDPでは、OECD加盟国38ヵ国中で19位(2020年 内閣府)。
(ルクセンブルグの約1/3
スイスやアイルランドの半分以下
アメリカの2/3以下という状態)
1965年に75%あった食料自給率は、いまやカロリーベースで40%未満※。
エネルギー自給率は世界の20位近くで10%強、原子力を除けば一桁台※。
IMDによる世界のデジタル競争力順位では、
シンガポール、台湾、韓国、中国が上位に位置する中、日本は28位※。
デジタル後進国であることは日ごろからよく見聞きしますが、
総合的に見ても、日本の立ち位置は中の下レベル、
アジア地域では後進国と見なされている現状です。
(※=月刊誌致知2022.7月号「提言 データが教える日本の危機」より引用)
近年の日本の教育体系は、「義」よりも「利」重視です。
「利」を追うほどに落ちてゆく、近代日本の惨憺たる姿。
間違いなく、誤っています。
他方、外部的な脅威も迫ってきています。
近年、SDGsへの取り組みが注目されていますが、
果たして有事の際、日本という“国自体の持続”は可能なのでしょうか。
ロシア、中国、北朝鮮、この独裁3ヵ国に日本は囲まれています。
企業のBCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)もさることながら
日本国の“NCP (Nation Continuity Planning:国家継続計画)”
を確立せねばなりません。
独裁国家に侵略されて国家を失えば、
世界平和やSDGsへの貢献など、その機会さえ失ってしまいます。
戦前から日本人の魂に宿る「義」の心
これをもとに皆でがんばったことで得られた
戦後からの驚異的復活
ところがその後
「利」に傾いて没落していく日本
この半世紀近くの没落
なぜか?
国民の想いが「利」に敏感になったため
なぜか?
そういう風潮を国民が感じたから
なぜか?
そういう教育で育ってきたから
2080年あたりに過去の歴史を振り返った折
1980~2030の半世紀が
最も愚かな教育体系期だったと
認識されるでしょう。
早く、修正せねばなりません。