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COLUMNSブログ「論語と算盤」

良薬は口に苦し

2022年5月20日

薬物は、かんちゅうより生ずる者多くこうり。人もまたかん閲歴えつれきすれば、すなわち思慮おのずかこまやかにして、あたかく事をすます。れとあいたり。〔晩録二〇四〕

(薬は甘味が苦味の中から出てくるものに多く効能がある。人も同じで、艱難辛苦を経験すると、考えが自然と細部にまで行き届くようになり、何事もよく成就することになる。これとよく似ている。)

<出典:「言志四録 佐藤一斎」渡邉五郎三郎監修 致知出版社>

 

 

 

苦しみの中では

   なぜそうなったのか

      何が悪かったのか

         よくよく考えるものです。

 

 

しかし、大抵その原因はわかりません。

 

 

 

そのとき、少なくとも、正しい考えで耐え忍ぶことが大切です。

 

決して、安易でその場しのぎの逃避行動をとってはいけません。

 

 

 

耐え忍ぶ時間が過ぎれば、やがて乗り越えたことに気づきます。

 

 

その後、数ヶ月後、あるいは数年後、

      なぜそこに陥る必要があったのか、

おぼろながら見えてきます。

 

 

これが経験、自らの身に染み入るかてになります。

 

 

 

反対に、

   危険を避け、無難に振舞い、目立たぬように、

      苦しみに足を踏み入れぬようにしていると、

このような教訓は得られません。

 

 

徳、人格、度量、これらを高めずに、何のために生きるのか

 

 

 

若いころ、厳しく接してくる上役がいました。

 

こちらを追い込むような指示

  批判中心の感情的な叱責

    攻撃的にさえ映るその態度

 

 

この上役に対し、反骨精神から、しっかりと対応し続けていると、

あるとき、対応がガラリと変わりました。

 

 

もう指導は不要

一応育ったという認識をしてくれたようです

 

 

 

自信を得ることができた経験です。

 

 

この体験で得た知見は、仕事のみならず、

人生の様々な局面に対しても役立っていると感じます。

 

 

このような対応は、当時の私のような若手を育てるには、

苦いながらも効果的で、真の意味での良薬と感じます。

 

 

 

もしも生ぬるい人的環境で育っていたらと考えると、空恐ろしくなります。

 

 

 

厳しい条件下でも、

  しっかりと用心し、ちゃんと恐れて、挑戦すること

    それが人生を高めていく勘所だと感じます。

 

 

上手くいかず、打ちひしがれる日もあるでしょう。

絶望感に苛まれ心身が動かない時もあるでしょう。

先が見えず、気持ちが病みそうにもなるでしょう。

 

 

 

しかし、正しい考えで耐え忍ぶことができれば

自らのためになる、大いなる教訓を得られるはずです。

 

 

 

先日、アフリカだけに生息する

ハダカデバネズミというネズミの存在を知りました。

 

このネズミは、土中にトンネルを掘って、

ずっと暗闇の中で生きて行くそうです。

 

また、蜂のように、女王ネズミや働きネズミと言った

階級社会を有しているそうです。

 

このネズミが注目されているのは、

どうやら不老不死らしいということです。

 

 

普通のネズミが数年の命であるのに対して、

     ゆうに数十年は生き永らえているらしく

          もしかすると永遠の命を授かっている可能性が高いそうです。

 

 

しかし、環境の変化には弱く、

土中のトンネルから出てしまうと生きていけないとのこと。

 

 

でも、トンネルの中なら不老不死

 

次に生まれてくるとしたら、このネズミが良いですか?

 

 

 

それとも、荒波に翻弄されながらも、突破して立ち上がり、

また挑戦できる喜びが感じられる人生

 

志を同じくする同士とともに前進し

愛すべき大切な人と一緒に過ごす日々

 

幅が広く、奥行きが深く、高低差の大きい、人生の枠いっぱいで生きる

艱難辛苦、喜怒哀楽、利害得失、栄枯盛衰

全てを味わい切る人生

 

 

こちらが良いですか

 

 

答えは明らかです。

 

さあ、臆することなく進んでいきましょう。