業界売上高トップ4
有価証券報告書 財務分析
<食品業界・・・第6回>
~最終回~
第6回分析テーマ・・・投資力
分析指標値・・・営業CF対投資CF比率
各社別の営業/投資CF推移
ROIC
WACC
(各指標の説明はこちら)
【営業CF対投資CF比率】
〔営業CF対投資CF比率=営業CF÷投資CF〕
最も100%に近いのは日本ハムです。
特に直近2期の値は安定しています。
2番手は山崎製パンです。
4期とも100%台で安定的と言えます。
続いて味の素です。
直前期では下がりましたが、全体的に上昇傾向です。
そして明治HDです。
直前期のみ大胆な動きとなっています。
続いて各社の推移を見ていきます。
【各社別 営業/投資CF推移】
〔実額ベース〕
日本ハムの直近の営業CFは、前年比40.5%の334億円です。
税引前当期利益は前年比で107.9%と拡大していますが、事業の売却損益、売上債権、棚卸資産などがマイナス要因となっています。
一方、投資CFは前年比39.5%の228億円であり、抑制した形です。
固定資産等の取得が前年比74.9%とやや減少し、定期預金や事業の売却に伴う収入で比較的大きなプラスを生み出しました。
以上から、直前期のFCF(フリー・キャッシュフロー)は106億円のプラスとなりました。
味の素の直近の営業CFは、前年比87.9%の1,456億円です。
税引前当期利益は前年比で124.6%と拡大していますが、棚卸資産の増加が大きく、その他複数要因も若干ながらマイナスしている影響です。
一方、投資CFは前年比92.9%の616億円です。
有形/無形固定資産の取得による支出が前年より減少した点が影響しています。
以上から、直前期のFCFは840億円のプラスとなりました。
山崎製パンの直近の営業CFは、前年比121.0%の571億円です。
税金等調整前当期純利益は前年比121.6%と拡大しており、売上債権や棚卸資産の増大というマイナス要因もありましたが、全体として拡大しました。
一方、投資CFは、前年比97.8%の378億円です。
有形/無形固定資産の取得による支出が微増しましたが、概ね前年並みの推移となっています。
以上から、直前期のFCFは193億円のプラスとなりました。
明治HDの直近の営業CFは、前年比103.1%の1,275億円です。
税金等調整前当期純利益が124.5%と拡大しており、関係会社株式売却益で大きくマイナスしたものの、全体として拡大しました。
一方、投資CFは、前年比29.7%の276億円です。
有形/無形固定資産の取得による支出は合計で増えていますが、投資有価証券の売却による収入が554億円に上ったことが影響しています。
以上から、直前期のFCFは999億円という大きなプラスになりました。
【ROIC】
〔ROIC=(営業利益−法人税等)÷(純資産+有利子負債)〕
トップは味の素です。
ただし、2期連続で低下しています。
なお、「2020-2025中期経営計画」における2023~2025年度の目標として、ROIC 10~11%を掲げています。
2番手は明治HDです。
2018、19年度は10%超と良好でしたが、2期連続で比較的大きく低下しています。
なお、「2023中期経営計画」において、2023年度(2024決算期)目標としてROIC=10%以上を掲げています。
続いて日本ハムです。
直近2期は、ともに0.4ポイントずつ低下しています。
なお、「中期経営計画2023」における2023年度の目標として、ROIC6.0%以上を掲げています。
そして山崎製パンです。
過去2期に比べ、直近2期が低位になっています。
【WACC】
〔WACC=株主資本コスト×(株主資本÷(株主資本+有利子負債))
+負債コスト(1-実効税率)×(有利子負債÷(株主資本+有利子負債))〕
4社とも〔ROIC-WACC〕がプラスになっています。
〔ROIC-WACC〕が最大なのは味の素です。
β値は0.18と相当に小さく、株主資本コストが抑制されています。
2番手は明治HDです。
当社もβ値が0.28とかなり小さく、株主資本コストが抑制されています。
続いて日本ハムです。
当社も同様にβ値が0.49と小さめになっています。
そして山崎製パンです。
β値はなんと0.05と極小であり、WACC自体が0.73%と相当低位になっています。
今回、この業界で気になったのは、
各社それぞれの注力項目や
特徴が見えやすかったことです。
今回の「投資力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
※営業CF対投資CF比率の順位は、
100%との乖離幅が最小となる会社から1~4位としています。
また、全6回の分析における順位の
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
以上で、食品業界を終了します。
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