ハウスメーカー業界の5回目です。
今回は、「資金力」の分析です。
取り上げる指標は、手元資金推移、
手元流動性比率、手元資金有利子負債カバー率、
総資本営業CF比率、売上高営業CF比率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【手元資金推移】
〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕
トップは飯田GHDです。
2020年度で大きく拡大し、直前期の2021年度も増加しています。
2番手は積水ハウスです。
2019年度と2020年度は6,000億円前後でしたが、直前期では減少しました。
続いて大和ハウスです。
2020年度は高まりましたが、直前期では減少しました。
そして住友林業です。
直前期は前年比で160.9%と、大きく拡大しました。
【手元流動性比率】
〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕
トップは飯田GHDです。
3期連続で高めており、月商ベースで5ヶ月分ほどの手元資金を有しています。
2番手は積水ハウスです。
直前期で低下しましたが、月商ベースで2.5ヶ月程度の手元資金を有しています。
続いて住友林業です。
2019年度以降、月商ベースで1ヶ月強の手元資金という推移です。
そして大和ハウスです。
2020年度を除き、月商1ヶ月分を切った推移となっています。
見方によっては、資金効率が良好であるとも言えます。
【手元資金有利子負債カバー率】
〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕
トップは飯田GHDです。
2020年度から2年連続で実質無借金経営の状態です。
直前期では、長短合計の有利子負債が前年比で124.7%と増加したため、やや比率が低下しました。
2番手は積水ハウスです。
2019年度と2020年度は実質無借金経営でしたが、直前期は100%以下となりました。
長短合計の有利子負債は、3期連続で減少しています。
よって、直前期の低下は手元資金の減少が主因となります。
続いて住友林業です。
前述のように、直前期は手元資金が急増しました。
それに対して長短合計の有利子負債は前年とほぼ同額(前年比100.03%)であったため、当比率が上昇しました。
そして大和ハウスです。
直前期では、手元資金の減少に加え長短合計の有利子負債が前年比で112.7%と増加したため、当比率が4期間中で最低値まで低下しました。
【総資本営業CF比率】
〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕
トップは住友林業です。
当指標も直前期で急上昇しています。
計算式の分母となる総資本が2019年度(12ヶ月)比で130.8%と増大しましたが、営業CFは同200.3%とそれ以上に大きく増大しました。
2番手は大和ハウスです。
年度ごとに上下しており、直前期は低下しています。
上下動の要因は、総資本が安定的に3期連続で増大している中、営業CFが乱高下しているためです。
続いて積水ハウスです。
直近の2期連続で比較的大きく低下しました。
営業CFの減少が主因となっています。
そして飯田GHDです。
2020年度の高比率から、直前期は急落しました。
直前期の営業CFが前年比で1.0%と、100分の1まで縮小しています。
【売上高営業CF比率】
〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕
各社のグラフ形状は概ね変化はありませんが、
上位2社の順位が入れ替わりました。
トップが大和ハウス、
2番手が住友林業、
続いて積水ハウス、
そして飯田GHDという順位です。
今回、特に気になったのは、
指標によって大きく様相が変わる飯田GHD、
そして、上昇の勢いが感じられる住友林業です。
今回の「資金力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「投資力」を見ていきましょう。
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