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COLUMNSブログ「論語と算盤」

自動車業界-5

2022年8月29日

自動車業界の5回目です。

 

今回は、「資金力」の分析です。

 

 

取り上げる指標は、手元資金推移手元流動性比率

手元資金有利子負債カバー率総資本営業CF比率

売上高営業CF比率となります。

 

なお、各指標についての説明はこちらです。

 

 

手元資金推移

〔手元資金=現金預金+有価証券(短期保有目的)〕

 

 トップトヨタです。

2021期は10兆円に届かんばかりでしたが、直前期ではやや減少しました。

これは、現金及び現金同等物が1兆円ほど増加したものの、短期保有目的の有価証券(その他の金融資産勘定)が1.7兆円ほど減少したためです。

 

 2番手はホンダです。

3期連続で増加しています。

 

 続いて日産です。

2期連続で増加しましたが、直前期では減少しました。

これは、現金及び預金が4千億円以上減少したためです。

 

 そしてスズキです。

この3期間は、減少、増加、減少というように増減を繰り返しています。

 

 

手元流動性比率

〔手元流動性比率=(現金・預金+有価証券)÷(年商÷365)〕

 

 トップスズキです。

日商の111日分ですから、4ヶ月分近くの手元資金を有しています。

2019期から大きく増大していることがわかります。

 

 2番手はトヨタです。

当社も同じように、2019期からは大きく増大しています。

 

 続いて僅差でホンダです。

一定比率で増大しているように見えます。

 

 そして日産です。

直前期は減少しましたが、それでも2.5ヶ月強分であり、特段少ないわけではないでしょう。

 

 私見ですが、新型コロナの感染症まん延や、終わりの見えないロシア・ウクライナ紛争など、世界的にリスク要因が多発・拡大している昨今、手元資金を多く保有する傾向が高まりそうな気がします。

 

 

手元資金有利子負債カバー率

〔手元資金有利子負債カバー率=(現金・預金+有価証券)÷有利子負債〕

 

 トップスズキです。

4期間とも実質無借金経営の状態です。

 

 2番手はホンダです。

直前期ではやや比率が高まりました

これは、有利子負債自体は増加したものの、前述のように手元資金がそれ以上に増加したためです。

 

 続いて、トヨタです。

直前期はやや低下しました。

前述した手元資金7千億円ほどの減少に対して、長期借入債務を中心とした有利子負債が1兆円以上増加しています。

 

 そして日産です。

直前期はほぼ前年並みの推移となっています。

 

 

総資本営業CF比率

〔総資本営業CF比率=営業CF÷総資本〕

 

 トップホンダです。

3期連続で上昇しており、キャッシュ創出力が強化されていることがうかがえます。

 

 2番手はトヨタです。

2020期で落とした後、やや低迷している様子です。

 

 続いてスズキです。

総資本に大きな変化はなく、営業CFが年度によって上下しています。

 

 僅差で日産です。

高いレベルを維持していましたが、直前期で大きく低下しました。

営業CFが大きく減少しており、その主因は仕入債務の減少です。

 

 

売上高営業CF比率

〔売上高営業CF比率=営業CF÷売上高〕

 

 トップトヨタです。

売上高におけるCF創出力がこれだけ安定的で高いレベルを維持しており、さらに売上高が圧倒的に大きいという事実は、やはり相当に強い経営基盤と言えます。

簡単には手元資金が減少しそうにありません。

 

 2番手はホンダです。

3期連続で上昇しています。

また、トップに肉薄しており、逆転せんばかりの勢いが感じられます。

 

 続いて日産です。

過去3期はトップクラスでした。

直前期では、売上高が上昇した反面、前述のように営業CFが減少したため大きく低下しました。

 

 最後にスズキです。

営業CFを安定的に生み出すことが課題と感じます。

 

 

今回、特に気になったのは、ホンダ安定性と良化です。

各指標が高まっており、

マネジメント力の強さを感じさせます。

 

 

今回の「資金力」の順位による

比較レーダーチャートは以下のとおりです。

 

 

今回は以上です。

 

次回は、「投資力」を見ていきましょう。

 

 

 

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