家電量販業界の4回目です。
今回は、「資本活用力」の分析です。
取り上げる指標は、総資本回転率、売上債権回収日数、
棚卸資産回転日数、流動比率、自己資本比率となります。
なお、各指標についての説明はこちらです。
【総資本回転率】
〔総資本回転率=売上高÷総資本〕
トップはエディオンです。
2020期は、売上高が前年比102.1%、総資本が前年比98.3%となり、当指標が高まりました。
翌2021期は、売上高は104.7%とさらに高めましたが、総資本が110.3%とそれ以上になったため、低下しました。
直前期の2022期は総資本が97.9%と減少しましたが、売上高が92.9%それ以上に低下したため当指標が2期連続で低下しています。
2番手はビックカメラです。
当社の他指標と同様に、2期連続で低下した後、直前期で上昇しています。
直前期では、負債の削減を主因とした総資本の減少(前年比96.3%)と、売上高が前年比98.4%と低減度合いが小さかったため、当指標が上昇しました。
続いてケーズHDです。
2021期まで2期連続で上昇させましたが、直前期は低下しました。
直前期は、総資本が前年比103.3%と拡大しましたが、売上高は94.3%と低下しています。
最後にヤマダHDです。
2期連続で小幅ながら上昇していましたが、直前期は低下となりました。
直前期は、総資本は前年比101.5%とほぼ横ばいですが、売上高が92.4%と比較的大きく低下しています。
【売上債権回収日数】
〔売上債権回収日数=売上債権残高÷日商(売上高÷365)〕
回収日数が最短なのはケーズHDです。
ただし、2期連続で長期化してきています。
直前期は売上高が低下しているにもかかわらず、回収日数が伸びてします。
キャッシュレス決済の広がりが原因と推察します。
2番目に短いのがビックカメラです。
2021期まで2期連続で長期化していましたが、直前期で短縮化させています。
直前期(2021.08期)の売上高が前年比98.4%と微減した中、売掛金残高が91.5%と大きく減少しました。
続いてヤマダHDです。
2期連続で長期化してきています。
売上高は前年比92.4%と減少しましたが、売掛金残高は101.0%とほぼ横ばいです。
回収日数が最も遅いのはエディオンです。
当社も2期連続で長期化しています。
売上高は前年比92.9%、売掛金残高は101.5%という状況です。
総資本回転率はトップでしたが、構成要素の一つであるこの指標は貢献していません。
【棚卸資産回転日数】
〔棚卸資産回転日数=棚卸資産残高÷日商(売上高÷365)〕
回転日数が最も短期間なのはビックカメラです。
もともと低いレベルでしたが、直前期ではさらに短縮化しています。
コロナ禍の巣ごもり需要を捉えきれず業績が悪化する中、改善可能な項目の良化に取り組んでいるように映ります。
2番目に短いのはエディオンです。
資本回転率を構成するこの指標については相対的に良好です。
ただし長期化しており、棚卸資産の残高は107.3%、108.3%と2期連続で増加しています。
続いて、ケーズHDです。
2020期、2021期と短縮化していましたが、直前期では伸びてしまいました。
2021期の棚卸資産残高は前年比110.1%と増加しましたが、売上高が111.9%とそれ以上の増加でしたので、当指標は短縮しました。
しかし直前期では、売上高が94.3%と低下したのに対し、棚卸資産残高が前年並みに109.4%と増大したため、比較的大きく悪化しています。
最も回転日数が長いのがヤマダHDです。
4期間とも月商の3ヶ月分近くと、恒常的に長期となっています。
また、直前期はさらに長期化しています。
先ほどの売上債権回収日数とこの指標を合わせて見ると、当社は下位に位置付けられます。
冒頭の総資本回転率が4位であることの主要因と捉えられます。
【流動比率】
〔流動比率=流動資産÷流動負債〕
トップはエディオンです。
2期連続で減少していますが、問題のないレベルで推移しています。
直前期は、流動資産が微減する状況下(前年比99.0%)、契約負債が300億円近く生じたことから流動負債が前年比105.0%と膨らみました。
2番手はケーズHDです。
2021期はトップでしたが、直前期ではやや大きめに低下しています。
流動資産は増大していますが、短期借入金が直前期に180億円以上膨らんだことが影響しています。
続いてヤマダHDです。
2020期で急上昇した後、2期連続で低下しました。
直前2期の推移は、流動資産が前年比112.7%・101.1%という推移に対して、流動負債は119.7%・109.6%というように伸び率が高くなっています。
最後にビックカメラです。
2021期で急上昇させ、2022期はやや低下しました。
流動負債の直近2期の推移は、前年比で100.0%・99.8%と横ばいです。
流動資産のそれは、131.0%・94.3%と大きな上下変動が見られます。
【自己資本比率】
〔自己資本比率=自己資本÷総資本〕
トップはケーズHDです。
60%台前半というレベルで、安定的に推移しています。
上場企業としては比較的高いレベルと言えるでしょう。
2番手はエディオンです。
50%を切らないレベルで推移しています。
続いてヤマダHDです。
当社も50%を軸に、安定的に推移しています。
最後にビックカメラです。
4社の中では相対的に低いと捉えられますが、資本政策による想定通りの結果かもしれません。
今回、特に気になったのは
エディオンの資本効率の良好さ
そしてそれとは逆のヤマダHDの資本効率の低さでした。
今回の「資本活用力」の順位による
比較レーダーチャートは以下のとおりです。
今回は以上です。
次回は、「資金力」を見ていきましょう。
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